研究課題/領域番号 |
15K09177
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シェディング / 癌特異的酵素 / 尿中蛋白断片 / 癌マーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが実施してきた、癌特異的プロテアーゼ活性により生成された尿中シェディング産物探索の成果をさらに発展させ、臨床的に有用な癌マーカーとして確立することを目的としている。 平成27年度は遠隔臓器への転移を有する肺腺癌4期患者の尿検体41症例分を収集した。この41症例中11症例では脳転移を認めた。尿中蛋白断片網羅的解析データの検討からは、脳転移を予測する蛋白断片7種を抽出することができた。それぞれ、脳転移を有さない肺腺癌4期症例群とのマーカー蛋白の相対比は、12.9、4.01、4.88、5.21、7.02、4.78、1.48であった。感度 (%)は、45、45、45、63、55、45、45、特異度 (%)は、91、88、88、83、85、91、88であった。またROC-AUCは、0.66、0.65、0.65、0.72、0.7、0.68、0.68で、p値は0.03、0.06、0.056、0.017、0.016、0.0056、0.068であった。 さらに、骨転移を有する肺腺癌24症例と骨転移を有さない肺腺癌4期症例の尿中蛋白断片網羅的解析データの検討からは、骨転移を予測する蛋白断片3種を抽出することができた。それぞれ、骨転移を有さない肺腺癌4期症例群とのマーカー蛋白の相対比は、2.59、2.04、2.22であった。感度 (%)は、54、69、63、特異度 (%)は、90、71、79であった。またROC-AUCは、0.71、0.7、0.68で、p値は0.0013、0.0078、0.0072であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、肺腺癌を対象に、蛋白質の網羅的末端構造解析によって同定された、癌細胞が生成する尿中シェディング産物を用いて、癌診断に有用なバイオマーカーを確立することである。 平成27年度は肺癌患者のQOLを著しく障害するため、早期の診断が重要である脳転移と骨転移を予測するマーカー候補を抽出することができた。これは順調な進捗と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は症例数の更なる集積を進め、平成27年度に得られた知見の検証を実施する。また、異なった臨床的視点からの癌マーカー探索を行う。尿中蛋白断片の網羅的解析のほかに、Multiple Reaction Monitoring手法による解析を加え、癌マーカー探索の精度を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張に伴う旅費が当初の想定よりわずかに安く済んだため、繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度からの繰り越しは尿検体処理の試薬として使用する。
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