研究課題
膠原病関連間質性肺炎における血清B細胞活性化因子(BAFF)のバイオマーカーとしての有用性。背景:間質性肺炎は膠原病を有する患者において多く認められる合併症である。膠原病関連間質性肺炎(CTD-ILD)の診断は予後および治療の両方に影響を与えるが、慢性線維性間質性肺炎(CFIP)から区別することが困難な場合が多い。腫瘍壊死因子ファミリーに属するB細胞活性化因子(BAFF)は、B細胞の発達、生存、および抗体産生において重要な役割を果たしており、BAFFが間質性肺炎の鑑別診断に有用である可能性がある。方法:CTD-ILD 33名、未分化CTD-ILD(UCTD-ILD) 16名、CFIP 19名、26人の健常者を対象とし血清BAFF、KL-6とSP-D値の測定をそれぞれ行った。血清BAFFレベルと肺機能との相関関、およびCTD-ILD患者の肺組織中のBAFF発現の解析を行った。結果:BAFFの血清レベルは、健常者とCFIP患者と比較してCTD-ILD患者で有意に高値を示した。しかしSP-DおよびKL-6の血清レベルに有意な差はみられなかった。またCTD-ILD患者の血清BAFFレベルは肺機能と逆相関を呈した。免疫組織学的染色による検討ではCTD-ILD患者の肺で過剰強発現がみられ、健常肺でBAFFは弱く発現がみられた。考察:健常者とCFIP患者と比較しCTD-ILD患者で血清BAFF値が有意に高いことを示した初めての報告である。さらに血清BAFFレベルは肺機能と相関がみられた。CTD-ILD患者の血清BAFF値が間質性肺炎の疾患活動性と重症度の存在を反映している可能性がある。結論:血清BAFF値はCFIPからCTD-ILDを区別するための有用なマーカーとなりうる。
2: おおむね順調に進展している
呼吸器疾患血液バイオマーカーとして、BAFF(B cell-activating factor)の有用性を示し、報告した。気道上皮被覆液(ELF)を用いた、呼吸器疾患バイオマーカーの検討も結果がでてきている。MiRNAの解析については、やや遅れている。
気道上皮被覆液(ELF)を用いた、呼吸器疾患に関するバイオマーカーとしての有用性が示される結果が出てきており、発表の準備を進める。MiRNA解析については、ELF微量検体での解析に関してキットを用いた測定を検討し、研究を推進していく。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
BMC Pulm Med
巻: 15
10.1186/s12890-015-0105-0