研究課題
肺癌以外の扁平上皮癌である子宮頸癌、頭頸部癌において癌抑制性に作用を有することが報告されているmicroRNA-218(miR-218)に着目し、肺扁平上皮癌において腫瘍の進展に関連する重要な分子ネットワーク解析を、miR-218を起点として行った。「miR-218の肺扁平上皮癌臨床検体及び細胞株における発現低下」 肺扁平上皮癌部 (n = 31) 及び肺扁平上皮癌細胞株では、非癌部 (n = 24) と比較し、有意にmiR-218の発現低下を認めた (P < 0.0001)。「miR-218の腫瘍抑制機能」 miR-218をEBC-1細胞、SK-MES-1細胞に核酸導入した機能解析では、増殖抑制、遊走能の抑制、浸潤能の抑制を認めた(P < 0.0001)。「miR-218の標的遺伝子候補の選出」データベースを用いてmiR-218の結合が推定される36遺伝子を選出し、遺伝子候補一覧において最上位の遺伝子であるtumor protein D52 (TPD52)に着目し解析を進めた。「TPD52の免疫染色」肺扁平上皮癌臨床検体におけるTPD52の発現を免疫染色において評価し、非癌部と比較し、癌部でTPD52の高過剰発現を認めた。「miR-218によるTPD52の発現抑制」 EBC-1細胞、SK-MES-1細胞へのmiR-218核酸導入において、蛋白レベルでのTPD52発現抑制を認めた(P < 0.0001)。miR-218はTPD52の3'-UTRにおける特定の配列に直接作用し、TPD52の発現を抑制していることが示された。「TPD52の機能解析」 si-TPD52をEBC-1細胞、SK-MES-1細胞に核酸を導入し、遊走能の抑制、浸潤能の抑制を認めた(P < 0.0001)。miR-218はTPD52を直接制御し、腫瘍抑制性に作用することを示した。
3: やや遅れている
間質性肺炎の血液バイオマーカーおよびmiRNA発現解析は進捗しているが、気道上皮被覆液を検体とした解析が遅れている。
気道上皮被覆液を用いたバイオマーカーの解析は結果がすでに出ており、論文発表に取り組む。気道上皮被覆液中のmiRNA解析については、微量検体での測定方法について検討を要する。
旅費の出費がなくなったため。
引き続き旅費への出費がない場合、実験の物品費不足分に充当する予定。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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