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2016 年度 実施状況報告書

喘息・COPDオーバーラップ症候群(ACOS)における気道分泌制御の重点的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K09183
研究機関横浜市立大学

研究代表者

新海 正晴  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10535214)

研究分担者 金子 猛  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90275066)
下川路 伊亮  横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (70751634)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード気管支喘息 / COPD / ACOS / IL-13 / TGF-α / CLCA-1 / ANO-1 / CXCL8
研究実績の概要

粘液過剰産生は、COPDや気管支喘息などの慢性気道炎症性疾患において主要な病態の一つであり、大量の喀痰や気道閉塞の原因となるためその制御は重要である。COPDにおいて咳・痰症状が多いと増悪頻度が増し、予後不良であることが知られている。また、喘息とCOPDの病態を合併したオーバーラップ症候群(ACOS)は、喘息のないCOPDに比べ重症かつ予後不良である。一方、我々の研究グループは、ステロイドと比較し、マクロライド系抗菌薬における気道上皮細胞からの炎症性サイトカイン調整および上皮細胞の杯細胞化抑制における有用性を示してきた。
したがって、本研究の目的は、ACOSにおける気道分泌に関与するMUC5ACに関与する細胞シグナル伝達系の解明とする。さらに、ACOSに対するマクロライド系抗菌薬の粘液分泌調整メカニズムを研究する。
本年度は、昨年度から引き続き、ヒト気道上皮細胞を用いた喘息モデルにおいて、IL-13投与により気道における主要なムチンMUC5ACの発現を誘導させ、IL-13誘導杯細胞過形成を確認した。EGFR/ERK、JAK/STATシグナル伝達のリン酸化、CXCL8、CLCA1、ANO-1蛋白量、mRNA等を経時的に調べた。蛋白量をElisa法で、mRNA発現をリアルタイムPCRで、リン酸化をWestern blot法で、組織学検討をHE染色、PAS染色で実施する。MUC5ACの上流の細胞シグナル伝達のひとつCLCA-1、ANO-1mRNAも有意に増加していた。さらに好中球性炎症を誘導する重要なサイトカインのひとつであるCXCL8産生増加も確認した。
次に、COPD気道上皮モデルを、TGF-α刺激により確立した。TGF-α刺激より、ヒト気道上皮細胞におけるCLCA-1、ANO-1、CXCL-8のmRNA発現が有意増加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

喘息気道上皮モデルは、初年度にて作成できたが、COPD気道上皮モデル作成確立に時間を要している。当初予定していた好中球エラスターゼでは、CLCA1/MAC5AC系の細胞シグナル伝達に変化を認めなかった。次に、タバコ抽出液、EGFRを刺激するamphiregulinを使用しモデル作成を試みるも、CLCA1/MAC5AC、ERK/MAC5AC系の蛋白発現に有意な変化を得られなかった。現在、TGF-αにおいて、MAC5ACの上流シグナル伝達に変化を確認でき、実験を重ねている。
以上のようにCOPD気道上皮モデル作成遅延により、当初の予定と比し、若干遅れていると考えている。

今後の研究の推進方策

IL-13、TGF-αをおのおの、同時に刺激し、IL-13かつTGF-α誘導杯細胞におけるシグナル伝達を解析する。EGFR/ERK、JAK/STATシグナル伝達のリン酸化、CXCL8、CLCA1、ANO-1蛋白量、mRNA等を経時的に調べる。蛋白量をElisa法で、mRNA発現をリアルタイムPCRで、リン酸化をWestern blot法で、組織学検討をHE染色、PAS染色で実施する。
同時刺激のCXCL8などのサイトカイン産生、CLCA1、ANO-1、MAC5ACmRNA発現がadditiveに増加する場合、ACOSの悪い予後を説明できるかもしれない。

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公開日: 2018-01-16  

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