研究成果の概要 |
成人下気道感染患者59人の血漿LL-37値を測定し, 原因微生物と重症度との関連性を調べた. 66%(39例)で原因微生物が判明した. 遺伝子増幅法を用いて呼吸器ウイルスが検出された症例は19例(約32%)存在した. 最も多く検出された呼吸器ウイルスはライノウイルスで RSVは全体の約5%(3例)であった. 感染種類別(ウイルスvs 細菌vs ウイルス+細菌)のLL-37値に有意な差を認めなかった.また, 重症度別のLL-37(mean±SD)値も,軽症67.9±33.6,中等症77.0±53.9,重症46.9±18.4ng/mlと3群間に有意差を認めなかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
成人下気道感染患者の約2/3で原因微生物が検出された. 呼吸器ウイルスは, 細菌との混合感染を含め, 全体の約32%で検出された. 入院患者に限定してもその頻度は約30%であった. RSVは全体の約5%に検出された. 血漿LL-37値は, 重症度や原因微生物の種類(ウイルス、ウイルスと細菌、細菌)では有意な差は認めなかった. RSVを含む呼吸器ウイルスは, 我が国の成人でも肺炎やCOPD増悪時には, 高頻度に検出され, 入院の原因となっている可能性が示唆された. これらの呼吸器ウイルス感染症の治療薬はインフルエンザを除くと存在せず, 治療薬・予防法の開発が必要であることが認識された.
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