Optical biopsyを利用した間質性肺炎の非侵襲的病理診断法の確立

2017 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15K09198
• 研究機関: 藤田保健衛生大学
• 研究代表者: 今泉 和良 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50362257)
• 研究分担者: 磯谷 澄都 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (10351032)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: プローブ型共焦点レーザー顕微鏡 / 間質性肺炎 / びまん性肺疾患 / 病理診断 / 呼吸器内視鏡診断

研究実績の概要

プローブ型共焦点レーザー顕微鏡(probe type confocal microendoscopy : pCLE)を用いて間質性肺炎を中心としてびまん性肺疾患を解析した。気管支鏡検査施行時にpCLEによる観察を同時に行い、画像集積と解析を行った。その結果、UIPでは末梢肺の自家蛍光が減弱しており肺胞壁が断片化、圧縮している所見が多かった。これに対してNSIP, OPでは肺胞内のマクロファージの自家蛍光が強く細胞数も増加していた。肺胞壁はNSIPでは圧縮所見があるもののUIPに比較して断裂、断片化の所見が少なかった。これらの所見を確認するために外科的（VATS）肺生検標本を採取直後にpCLEを用いて観察した。肺胞壁の変化、肺胞内細胞所見、構造改変所見、肺胞圧排所見の4項目にわけて、UIP/NSIPに限定して比較した。肺胞壁の不規則変化、構造改変所見、不規則な肺胞圧縮がUIPに特徴的な所見として抽出された。
また、肺胞蛋白症例（特に早期例）に対してpCLE画像と病理、画像所見との比較解析を行った。肺胞蛋白症の早期例ではCT上、crazy pavement appearance所見を呈する小病変部が散在しているのみであり、気管支超音波技術（EBUS-ガイドシース法）によって正確に病変部に到達しpCLE画像を記録した。病変部では、蛍光発色の増強した巨大細胞群、肺胞内を流動する淡い蛍光を有する無構造物質、非常に細い線状所見が特徴的に見られ、それぞれ泡沫状巨大マクロファージ、肺胞内PAS陽性物質、線維化を来していない肺胞壁 に相当する所見と考えられた。このように肺胞蛋白症ではpCLEによる極めて特徴的な所見を得る事ができ、pCLE画像のみで確定診断と出来る事が考えられた。また肺胞蛋白症は初期段階から、病変部には進行期と同じ病態が形成されており、病変は不均一に成立することが示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Feasibility of tissue re-biopsy in non-small cell lung cancers resistant to previous epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor therapies. (2017)
  • 著者名/発表者名: Uozu S, Imaizumi K, Yamaguchi T, Goto Y, Kawada K, Minezawa T, Okamura T, Akao K, Hayashi M, Isogai S, Okazawa M, Hashimoto N, Hasegawa Y.
  • 雑誌名: BMC Pulm Med 巻: 17 ページ: 175-184
  • DOI: 10.1186/s12890-017-0514-3
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Different Response to Nivolumab in a Patient with Synchronous Double Primary Carcinomas of Hypopharyngeal Cancer and Non-Small-Cell Lung Cancer (2017)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi T, Sakurai K, Kuroda M, Imaizumi K, Hida T
  • 雑誌名: Case Rep Oncol 巻: 10 ページ: 802-808
  • DOI: 10.1159/000479960
  • 査読あり
• [雑誌論文] Exogenous induction of unphosphorylated PTEN reduces TGFβ-induced extracellular matrix expressions in lung fibroblast (2017)
  • 著者名/発表者名: Kimura M, Hashimoto N, Kusunose M, Aoyama D, Sakamoto K, Miyazaki S, Ando A, Omote N, Imaizumi K, Kawabe T, Hasegawa Y
  • 雑誌名: Wound Repair Regen 巻: 25 ページ: 86-97
  • DOI: 10.1111/wrr.12506
  • 査読あり
• [雑誌論文] Increased airway hyperresponsiveness to adenosine in patients with aspirin intolerant asthma. (2017)
  • 著者名/発表者名: Isogai S, Niwa Y, Yatsuya H, Hayashi M, Yamamoto N, Okamura T, Minezawa T, Goto Y, Yamaguchi T, Takeyama T, Sakakibara Y, Morikawa S, Horiguchi T, Gotoh Y, Mieno Y, Uozu S, Nakanishi T, Okazawa M, Sakakibara H, Imaizumi K.
  • 雑誌名: Allergology International 巻: 66 ページ: 360-362
  • DOI: 10.1016/j.alit.2016.10.001.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] プローブ型共焦点レーザー顕微鏡（pCLE）によるびまん性肺疾患診断 (2017)
  • 著者名/発表者名: 今泉 和良
  • 学会等名: 第161回日本呼吸器内視鏡学会 関東支部会
  • 招待講演
• [学会発表] プローブ型共焦点レーザー顕微鏡下肺胞マクロファージのリアルタイム観察による間質性肺炎の鑑別診断 (2017)
  • 著者名/発表者名: 今泉和良、岡村拓哉、峯澤智之、森川紗也子、丹羽義和、堀口智也、後藤祐介、相馬智英、赤尾 謙、渡邊俊和、山口哲平、後藤康洋、磯谷澄都、中西 亨
  • 学会等名: 第40回日本呼吸器内視鏡学会学術集会
• [学会発表] Optical Biopsy Using Probe-Based Confocal Endomicroscopy (pCLE) in the Differential Diagnosis of Chronic Fibrotic Interstitial Pneumonia (2017)
  • 著者名/発表者名: Imaizumi K, Okamura T, Souma T, Minezawa T, Morikawa S, Goto Y, Hayashi M, Yamaguchi T, Isogai S
  • 学会等名: ATS (AMERICAN THORACIC SOCIETY)
  • 国際学会