研究課題/領域番号 |
15K09199
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
丸山 淳子 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (50263017)
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研究分担者 |
丸山 一男 三重大学, 医学系研究科, 教授 (20181828)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 肺静脈病変 |
研究実績の概要 |
Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)受容体拮抗薬のSU5416(Sugen)と長期低酸素曝露による血管閉塞性病変を呈するラット肺高血圧モデルの発症過程における心エコー、心カテにより得られた循環動態の経時的変化を観察した。各パラメーター間 の相関関係および肺動脈、肺静脈における血管病変との関連を評価することにより肺静脈血管病変と循環動態の変化との関連の検討を試みた。 方法:7週齢SD雄ラットにSugen皮下投与後、3週間低圧低酸素曝露群、低酸素曝露後2週間リカバリー群、5週間リカバリー群を作成した。また、carboxymethyl cellulose (CMC)投与後3週間低圧低酸素曝露群、低酸素曝露後2週間リカバリー群、5週間リカバリー群を作成し、それぞれのグループに対して血行動態、心エコー検査を施行後、人工呼吸器下に肺動脈または肺静脈にバリウムゼラチンを注入して肺組織標本を作成し、肺血管病変の評価を行った。 結果:右室圧(right ventricular pressure:RVP)はSugen投与群では、低酸素曝露群で顕著に上昇し、5週間リカバリー群で上昇傾向にあった。肺血管病変については、Sugen低酸素曝露群では肺動脈の中膜肥厚 (%MWT) と肺小動脈筋性化および閉塞性血管病変が認められ、リカバリー群で増悪傾向が認められたが、肺静脈ではどのグループでも中膜肥厚 (%MWT) および肺小静脈の筋性化などの顕著な組織変化は認められなかった。以上より、Sugenと長期低酸素曝露モデルでは肺動脈中膜肥厚および血管閉塞性病変は循環動態変化の誘引の一つである可能性があるが、肺静脈中膜肥厚および肺小静脈の血管病変などの器質的病変については循環動態の変化の誘因になる可能性は低いと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Vascular endothelial growth factor (VEGF)受容体拮抗薬のSU5416(Sugen)と長期低圧低酸素曝露により、重症な血管閉塞性病変を呈するラット肺動脈性肺高血圧症(PAH)モデルを作成し、ペン トバルビタール腹腔内麻酔下に、心エコー、循環動態を測定したのち、バリウムインジェクションの方法を用いて肺動脈血管と肺静脈血管の同定をそれぞれ試みた。また、前年度検体数が不足していた低酸素性肺高血圧ラットモデルについても同様に行った。当初計画していた3種類の肺高血圧モデルのうち、2種類のモデルについての肺静脈の器質的変化についての検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素性肺高血圧ラットモデル、Sugen+長期低圧低酸素曝露による血管閉塞性病変をもつ肺動脈性肺高血圧モデルともに顕著な器質的肺静脈病変は見られなかった。今後は、摘出肺動脈、肺静脈血管片を用いて、薬剤に対する血管反応性を解析することにより血管の機能的変化の有無を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた方法で、3種類のうち2種類のモデルを用いて実験を行ったが、得られた検体数が不十分であった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は上記のモデルについてさらに目的とする血管の機能変化の解析を行う予定である。さらに、他の1種類の疾患モデルについても実験を進める予定である。
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