アスベスト曝露に起因する悪性胸膜中皮腫は予後不良の難治性腫瘍であり、標準的治療法は未だ確立されていない。本研究では、悪性胸膜中皮腫に対して、次世代シーケンサーを用いた遺伝子発現解析を実施し、分子標的治療薬のターゲットとなる遺伝子変異を探索した。細胞株および胸膜腫瘍組織に共通して認められた遺伝子変異の中で、癌幹細胞の生存と増殖に関与するNOTCH1およびFBXW7、他疾患の原因遺伝子とされるTSC1およびBRCA2は、新規の治療標的となり得る可能性が示唆された。 今後、これらの遺伝子や癌幹細胞を標的とした悪性胸膜中皮腫に対する新しい治療法の開発が期待される。
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