自己免疫性肺胞蛋白症におけるB細胞活性化因子の役割と治療応用に関する研究

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K09203
• 研究機関: 独立行政法人国立病院機構（近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター）
• 研究代表者: 広瀬 雅樹 独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (90470195)
• 研究分担者: 井上 義一 独立行政法人国立病院機構(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (90240895)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 自己免疫性疾患

研究実績の概要

血清中の抗GM-CSF自己抗体価が陽性と確認された自己免疫性肺胞蛋白症（APAP）50例、健常コントロール34例、肺疾患コントロール13例の血清中および気管支洗浄液中(BALF)のBAFF値およびAPRIL値を検討した。本年度、我々は、血清中のBAFF値およびAPRIL値がAPAP患者で健常コントロールと比べ有意な上昇を確認した(p<0.05)。また、BALF中のBAFF値およびAPRIL値も肺疾患コントロールと比べ有意な上昇を確認した(p<0.0001)。BAFF値およびAPRIL値が血清中の抗GM-CSF自己抗体値と相関を認めないのは予期せぬ結果であったが、KL-6 (p<0.01), SP-D (p=0.01), SP-A (p<0.0001), LDH (p<0.01), CYFRA (p=0.001)等の間質性肺炎や肺胞蛋白症で上昇を認める血清マーカーとBAFF値はそれぞれ有意な相関を認めた。一方、APRIL値と相関を認めたのはCYFRAのみであった。血清中のBAFF値、APRIL値は共に呼吸機能とは全く相関を認めなかった。しかし、BALF中のBAFF値は、%VC (p<0.001)、%FVC (p=0.001)、%TLC (p=0.02)と相関を認めた。BAFL中のAPRIL値と呼吸機能は血清中の結果と同様に相関を認めなかった。本年度の結果からもAPAP病態には自己免疫性機序が関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度では、APAP患者血清中およびBALF中のBAFF, APRILに関して評価した。本研究は概ね当初計画どおり順調に進展している。

今後の研究の推進方策

平成27年度同様に当初の計画通り遂行していく。

次年度使用額が生じた理由

ELISAキットのLot番号がバラバラで希望数揃わなかったため。本年Lot番号を揃え購入し症例数を増やす予定である。

次年度使用額の使用計画

BAFF, APRILともにLot番号を揃えたELISA kitを購入しLot間のばらつきを抑える。また、BAFF, APRILは複数のアイソマーに加え、ホモトリマー、ヘテロトリマーが存在し、抗体作成時に区別されてなければ全てのタイプを認識する可能性が存在する。よって免疫染色を行う際に単一のクローン (11C1)だけでなく他のクローン (4D3)を評価することで自己免疫性肺胞蛋白症におけるB細胞活性化因子の理解を深める。

研究成果

• [雑誌論文] A mathematical model to predict protein wash out kinetics during whole-lung lavage in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis (2015)
  • 著者名/発表者名: Keiichi Akasaka, Takahiro Tanaka, Takashi Maruyama, Nobutaka Kitamura, Atsushi Hashimoto, Yuko Ito, Hiroyoshi Watanabe, Tomoshige Wakayama, Takero Arai, Masachika Hayashi, Hiroshi Moriyama, Kanji Uchida, Shinya Ohkouchi, Ryushi Tazawa, Toshinori Takada, Etsuro Yamaguchi, Toshio Ichiwata, Masaki Hirose et al.
  • 雑誌名: Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 巻: 14 ページ: L105
  • DOI: 10.1152/ajplung.00239.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Outcome of corticosteroid administration in autoimmune pulmonary alveolar proteinosis: a retrospective cohort study (2015)
  • 著者名/発表者名: Keiichi Akasaka, Takahiro Tanaka, Nobutaka Kitamura, Shinya Ohkouchi, Ryushi Tazawa, Toshinori Takada, Toshio Ichiwata, Etsuro Yamaguchi, Masaki Hirose, Toru Arai, Kentaro Nakano, Takahito Nei, Haruyuki Ishii, Tomohiro Handa, Yoshikazu Inoue and Koh Nakata
  • 雑誌名: BMC Pulmonary Medicine 巻: 15 ページ: 88
  • DOI: 10.1186/s12890-015-0085-0
  • 査読あり
• [学会発表] 自己免疫性肺胞蛋白症の血清中におけるB細胞活性化因子 (2016)
  • 著者名/発表者名: 広瀬雅樹
  • 学会等名: 第56回 日本呼吸器学会学術研究会
  • 発表場所: 国立京都国際会館
  • 年月日: 2016-04-09
• [学会発表] Serum B cell activating factors levels in patients with Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis (2015)
  • 著者名/発表者名: Masaki Hirose
  • 学会等名: American Thoracic Society
  • 発表場所: Colorado Convention Center
  • 年月日: 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] 自己免疫性肺胞蛋白症の血清中におけるBAFF (2015)
  • 著者名/発表者名: 広瀬雅樹
  • 学会等名: 第55回 日本呼吸器学会学術研究会
  • 発表場所: 東京国際フォーラム
  • 年月日: 2015-04-18
• [図書] 呼吸 (2015)
  • 著者名/発表者名: 広瀬雅樹
  • 総ページ数: 14
  • 出版者: 一般財団法人 呼吸研究