研究課題
Stanniocalcin-1(STC1)は、カルシウムリン代謝、ミトコンドリア呼吸、創傷シグナル、マクロファージの機能調整などに関わる分泌型二量体タンパク質である。種を越え良く保存されており、生命維持に重要とされるが、詳細な生理作用については不明である。我々は、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells)が、酸化ストレス・小胞体ストレスへの曝露、組織修復に関わるTGFbeta1・PDGF等の存在によりSTC1を大量に分泌することを発見した。また、STC1の経気道投与がマウスのブレオマイシンモデルの肺線維化を抑制することを発見した。STC1が持つ多彩な生理作用を統一的に説明する分子メカニズムを明らかにするため、STC1が肺微小環境代謝に与える影響についてメタボローム解析を行った。その結果、STC1が生体の障害ストレス応答反応の基盤となるシステイン・メチオニン代謝経路、ビタミンB6代謝経路などに深く関与することを発見した。システイン・メチオニン代謝経路はDNA、ヒストン、タンパク質等のエピジェネティクスな修飾に関与するとともに、レドックス活性を持つ活性イオウ種やグルタチオンの合成、葉酸代謝などにも中心的な役割を持つ。これらの知見は、肺の恒常性維持に関連する新規の病態解明と、線維症の新規治療開発に役立つ可能性がある。今後の研究で、STC1が関与する遺伝子・ヒストン等のメチル化脱メチル化等を介した線維化抑制に対する制御機構を解明していくとともに、肺線維症に対する新規治療の開発を目指していく予定である。
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