研究課題/領域番号 |
15K09206
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 充啓 東北大学, 大学病院, 助教 (00396483)
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研究分担者 |
吉岡 祐亮 (吉岡祐亮) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (60721503)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオマーカー |
研究実績の概要 |
エクソソーム(exosome)は体液中に存在する細胞外小胞で、遺伝情報やタンパク質を細胞間伝搬する。癌を中心に解析が進む中、COPDなど呼吸器疾患での動態・機能は不明である.そこで申請者はCOPD病態に関与する刺激が血管内皮細胞のエクソソーム分泌に与える影響を調べた。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVEC)にTNFα、H2O2、peroxynitriteを投与し、上清中の汎エクソソーム、内皮細胞特異的エクソソームを測定した。測定にはAlphaLISAを応用したExoScreen法を用いた。非刺激下では汎エクソソーム、恒常的内皮マーカー陽性エクソソームは検出できたが、活性化内皮マーカー陽性エクソソームは検出できなかった。TNFα投与下では汎エクソソームが増加し、活性化内皮マーカー陽性エクソソームが検出された。本結果から炎症性刺激が血管内皮細胞のエクソソーム放出を促進し、さらにエクソソームの表面抗原を変化させると考えられた。 次に肺疾患にてエクソソーム内のmicroRNAが変動しているか、まず肺線維症にて検討することにした。IPFにおける標的microRNAを効率的に探索するため、ブレオマイシン肺線維症モデルマウスの血清エクソソームmicroRNAの網羅的解析を行った。エクソソーム量による補正下においてmicroRNA-21-5pおよび155-5pが有意に上昇していた。N数を増やした確認実験では、microRNA-21-5pが急性期(day7)、慢性・線維化期(day14・28)ともに有意な上昇していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたCOPDだけではなく、難治性肺疾患の一つである、特発性肺線維症のマーカーとなりうるエクソソームmicroRNA候補も見出すことができており、今後、ヒト検体による解析を進めることにより、難治性呼吸器疾患の病態マーカーを探索・確立することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
血清エクソソームmicroRNA-21-5pが特発性肺線維症の病態・予後予測マーカーーとなりうるか、特発性肺線維症患者コホートにて検討する予定である。 またCOPDについては、COPD患者の気道上皮被覆液(epithelial lining fluid; ELF))に含まれるエクソソームmicroRNAの網羅的発現解析をPCRにて解析を行い、COPD病態におけるmicroRNAの発現変動を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究では効率よく研究を行うことができ、かつ学内や分担研究者の研究設備を使用することができたこともあり、使用額を抑える事ができたことに加え、今年度行う予定であった、網羅的発現解析を次年度に行うことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
エクソソームに内包されるmicroRNAの網羅的発現解析を中心とした解析を進める予定であり、翌年度分と合わせ、使用する予定である。
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