研究課題/領域番号 |
15K09210
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80431740)
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研究分担者 |
巽 浩一郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10207061)
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
岩田 剛和 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30586681)
田邉 信宏 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40292700)
鈴木 秀海 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60422226)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / ラット肺高血圧症モデル / 肺移植 / 肺動脈リモデリング |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)における肺動脈リモデリングには、現行の選択的肺血管拡張薬でも残存する治療抵抗性病変が存在する。しかし進行期PAH 症例へ片肺移植がなされていた時代、移植による肺循環動態改善後に残存病巣肺のほぼすべての肺動脈リモデリングが改善したとの報告があった。つまり圧負荷・容量負荷の解除こそが治療抵抗性病変を改善させる可能性がある。本研究の目的は、同様の病態を進行期PAH ラットモデルで再現し移植により生じた肺微小環境の変化を分子病理学的に明らかにすることである。さらに、現行薬剤に治療抵抗性を示す血管リモデリングが改善した分子機序を解明すると共に、新規治療薬のターゲットとして創薬に応用することである。またヒトPAH 肺移植症例の摘出病巣肺を検討し、動物モデルでの結果を確認する。 平成27年度の計画は『①治療抵抗性病変の確認』および『②片肺移植による改善病変の確認』である。前者は、VEGF 受容体拮抗薬投与+低酸素暴露モデル(SuHx model)において、選択的肺血管拡張薬アンブリセンタンによりすでに治療抵抗性病変および改善病変の確認をした。後者に関しては、呼吸器外科の先生にご協力頂き、当科においてラット移植実験を進行中である。具体的には以下に示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、本年度の目標として『①治療抵抗性病変の確認』では、すでにSuHx modelにおいて選択的肺血管拡張薬アンブリセンタンによる可逆性、不可逆性の肺動脈病変を確認しており、現在その結果は「HISTOLOGY AND HISTOPATHOLOGY誌」にin pressとなっている。『②片肺移植による改善病変の確認』では、レシピエントラットを1-2%イソフルレンによる麻酔管理下とし、肺動脈、肺静脈、気管支を結紮切離後、ドナーラット摘出肺の肺動脈を連続縫合する工程までは可能となったが、肺静脈や気管支吻合が未だ困難な状況である。しかし、呼吸器外科からの協力により次年度早期の達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究計画は『③肺微小環境変化の確認』であるが、上述のように早期に移植モデルを完成させる。そして、分子生物学的および病理学的に肺動脈リモデリングにおける病態を解明する。実際には、片肺移植後の残存病巣肺と移植時摘出した病巣肺から蛋白を抽出し、移植による肺組織微小環境変化をプロテオーム解析、Bio-Plex 解析、ウエスタンブロット解析などによる蛋白質発現変化で確認する。
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