研究課題/領域番号 |
15K09211
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 康宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00323585)
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研究分担者 |
城 大祐 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (30376470)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気道炎症 / 炎症性サイトカイン / ZC3H12A |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における気道炎症の病態解明は、疾患の進行や病勢制御において極めて重要であると考えられる。本研究においては気道炎症の制御に係る可能性のある分子であるZinc finger CCCH-type containing 12A/ Monocyte Chemotactic Protein Induced Protein(ZC3H12A/MCPIP)の役割とその気道炎症における制御機構の可能性について検討することが目的である。 気道上皮細胞であるBEAS-2B細胞を用いて、気道炎症の病態として、Interleukin (IL)-13, IL-17およびTumor Necrosis Factor(TNF)-α, LIGHT, Transient growth factor(TGF)-bなどのサイトカインの刺激にて、ZC3H12Aの発現・産生について評価を行った。IL-13, LIGHT, TGF-bなどでは明らかなZC3H12Aの誘導は認めなかったが、炎症性サイトカインであるTNF-αおよびIL-17Aの存在下では、ZC3H12A/MCPIP mRNAが有意に誘導され、さらに TNF-αとIL-17Aの共存在下で、相乗的に誘導されることを見出した。 現在、蛋白レベルでのZC3H12A/MCPIPの発現をELISAやWestern blottingにより評価している。まず刺激後培養上清を回収し、ELISAにて上清中のZC3H12A/MCPIPの発現を確認したが、上清中には産生されていないことが判明し、ZC3H12A/MCPIPが分泌される蛋白ではないことが判明した。次いで、細胞内に存在する蛋白であると考えたため、Western blottingにて細胞内でのZC3H12A/MCPIPの発現を評価したところ、細胞内でのZC3H12Aの発現を認めるものの、IL-17AやTNF-aの刺激による明らかな発現の亢進が認められなかった。 現在、細胞内での発現の状況について、再検討している状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
気道上皮細胞において、IL-17やTNF-αでの刺激により、mRNAレベルではZC3H12A/MCPIPの発現が誘導されることまでは順調に経緯してきている。蛋白発現に関して、ZC3H12A/MCPIPが上清中には分泌されない蛋白であることは判明したが、細胞内でのZC3H12A/MCPIPIの発現について、Western blottingにより評価を行っているが、サイトカインによる誘導についての明らかな変化を検出できていない。現在、再度、条件検討を行いながら、ZC3H12A/MCPIPの細胞内蛋白発現にについて、検討中している状況であり、実験の遂行が予定より、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
TNF-αおよびIL-17Aの存在下で、ZC3H12A/MCPIP mRNAが相乗的に産生されることが判明し、炎症性の病態下において、炎症制御に係る可能性が示唆されると考えられる。ZC3H12A/MCPIPの蛋白発現については、上清中に分泌されるものではなく、細胞内に存在し炎症制御に関わっていると推察される。このため、細胞内での機能について、検討を進めていく。 さらに、ZC3H12A/MCPIPのsiRNAを用いて、ZC3H12Aのknock downの状態で、気道上皮細胞から産生される炎症性サイトカインやメディエータ産生への影響についての評価を行う予定である。また、その細胞内シグナル伝達経路についても評価を行い、ZC3H12Aの炎症性病態の制御への機能・役割について、計画に沿って検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在も実験を遂行中であるが、その途中過程であるWestern blottingによる蛋白発現の結果が予測とは異なる結果となり、現在その評価を行っており、予定していた実験が滞っている為
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の遅れにより着手できなかった実験は年初から行っていく予定でおり、最終年度もその後の計画を遂行していく予定である。
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