研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、末梢気道の炎症性病態と肺の気腫性病変が相互に作用し進行性の気流制限を呈する疾患である。更に急性増悪による炎症性病態の悪化は疾患重症度の進行と生命予後に影響を及ぼす為、気道炎症の制御は疾患進行の制御と予後改善に向けて極めて重要である。気道炎症において、気道上皮細胞は炎症性サイトカイン・ケモカインの産生を介して重要な役割を果たしているため、気道上皮細胞でのこれらの制御が重要となる。近年、新規の転写因子として報告された Zing finger CCCH-type containing 12 A (ZC3H12A)/ Monocyte Chemotactic Protein Induced Protein (MCPIP)は、NF-kBの活性化阻害作用やRNase作用を有し、炎症性病態における免疫調整因子としての可能性について着目されてきている。本研究では気道上皮細胞におけるZC3H12A/MCPIPの役割またその機能解析について検討し、気道炎症の制御に向けた可能性について検討を行った。 気道炎症性病態下での上皮細胞におけるZC3H12A/MCPIPの発現変動の評価目的に、種々の炎症性サイトカインによる刺激にて気道上皮内でのZC3H12A/MCPIP mRNAの発現について評価した。また細胞培養液上清および細胞内での蛋白発現に関して、ELISA, Western blottingによりその発現を評価・検討した。 更に、気道上皮細胞内におけるその機能解析の目的にて、気道上皮細胞を用いて、ZC3H12A/MCPIPに対するsiRNAを導入し、ZC3H12A/MCPIPの抑制されることを確認した上で、炎症性病態下での細胞内RNAの発現変動に関して、RNA-seqを用いRNA発現の網羅的な解析を行い種々の細胞内シグナル伝達経路への影響等について検討を行った。
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