研究課題/領域番号 |
15K09212
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松井 祥子 富山大学, 保健管理センター, 教授 (40334726)
|
研究分担者 |
伊藤 清亮 金沢大学, 大学病院, 医員 (10467110)
川野 充弘 金沢大学, 大学病院, 講師 (20361983)
林 龍二 富山大学, 大学病院, 講師 (60345585)
山田 和徳 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 准教授 (90397224)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | IgG4関連疾患 / IgG4関連肺疾患 / 自然免疫 |
研究実績の概要 |
IgG4関連疾患の多彩な病態を形成する要因は不明であり、また臨床的にもステロイド漸減に伴う再発など治療に難渋する症例が多いため、本疾患の病態解明と治療法の確立は急務である。 申請者らはこれまでIgG4関連肺疾患の臨床に携わり、多数例のIgG4関連肺疾患を検討してきた。これらの臨床経験を通じて、IgG4関連疾患の病態として、何らかの抗原刺激による宿主のTh2反応と、その抗炎症性制御が働いた結果によりIgG4産生と線維化病変が生じるという仮説をたてた。そのため、まずはIgG4関連肺疾患のモデル動物の確立を研究し、T細胞活性化リンカー(Linker for activation of T cell;LAT)の136番目のチロシンをフェニルアラニンに変異したLAT Y136F変異マウスが、Th2優位の免疫反応を有し、IgG4関連肺疾患のモデルになりうることを報告した。 肺は直接外界と接するため、アレルゲンや細菌、ウイルスに暴露されやすい臓器である。近年、悪性腫瘍、自己免疫性疾患、アレルギー疾患などにおいて、Toll-like receptor (TLR)の関与が報告されていることから、IgG4関連疾患の病態形成においても、その関与が推測されることから、樹立した本モデルマウスにおいて、肺病変形成および進展に関与するサイトカイン等の因子や、TLRを介した自然免疫の異常の解明などを解明することを計画した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、主にIgG4関連肺疾患の病態形成に自然免疫が与える影響について検討を行った。 ヒトIgG4関連疾患のモデルマウスであるLAT Y136F変異マウスの、肺におけるTLR 7とTLR 9の発現について免疫組織学的評価を行った。TLR 7および9は炎症部位に一致して発現を認めた。また、同部位においては、CD3、F4/80、CD138、IgG1、IgG陽性細胞の発現も認められた。本研究の中心である、TLRに関して基礎的なデータが得られたため、おおむね順調に進展しているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度は、IgG4関連呼吸器疾患におけるTLRの関与についてさらに研究を進めていく。 具体的には、TLR 7および9のリガンドをLAT Y136F変異マウスに投与し、免疫学的、病理学的に検討を行う。さらに、28年度は他のTLRに関しても評価を行う。また、28年度には、4週齢から20週齢のLAT Y136F変異マウスにおけるサイトカイン、ケモカインの評価を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
LAT Y136F変異マウスを得るためには、ヘテロ同士のマウスを交配し、1/4の確率でホモが得られるはずであるが、実際には1/4以下となることが多い。また、LAT Y136F変異マウスは早期に死亡する場合があるため、当初予定していた実験マウスが十分に準備できなかったため、週齢ごとの免疫学的評価を28年度に行う方針としたため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度は、マウスの飼育数を増やし4週齢から20週齢のLAT Y136F変異マウスにおけるサイトカイン、ケモカインの評価を行う予定である。サイトカイン、ケモカイン評価のためのELISAキットおよび抗体の購入費に500千円を、マウスの飼育費の追加分として233千円を当てる予定である。
|