研究課題/領域番号 |
15K09221
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮原 信明 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70335610)
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研究分担者 |
金廣 有彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20243503)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺気腫 / IL-23 / p40 |
研究実績の概要 |
本年の研究成果により、IL-23/IL-12をブロックする抗p40抗体投与群は、静肺コンプライアンスがコントロール群にくらべて低値を示し、肺組織で評価した平均肺胞間距離も減弱し、気腫性変化の減弱が得られ、エラスターゼ投与後早期の気管支肺胞洗浄液の評価では子抗p40抗体投与群はコントロール抗体投与群に比較して、総細胞数、マクロファージ、そして好中球数の抑制がえられた。気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン、ケモカインを測定したところ、エラスターゼ投与によりIL-17の上昇が見られたが、p40抗体投与によりIL-17の抑制がえられ、好中球関連ケモカインであるKC,MIP-2の増加、そしてマクロファージ関連ケモカインであるMCP-1の増加もp40抗体投与により抑制が得られた。次に、エラスターゼ投与後の肺内のT細胞数を評価したところ、エラスターゼ投与により、CD4,CD8細胞数の増加が得られ、特にIL-17産生CD4T細胞(Th17細胞)の増加を認めたが、p40抗体投与によりTh17細胞の抑制が得られ、IFN-gamma産生CD4T細胞数にはp40治療群とコントロール抗体治療群で差は見られなかった。CD4+IL-17+IFN-gamma陽性細胞数にもp40治療群、コントロール抗体治療群に差が見られず、CD4+IL-17陽性IFN-gamma陰性の細胞数に、p40抗体投与による抑制効果が見られたことから、p40抗体によるIL-23/IL-12の抑制によりエラスターゼ誘導肺気腫の進展抑制効果が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p40抗体投与により、IL-23/IL-12を抑制することで、エラスターゼ誘導肺気腫進展を抑制することができ、またそのメカニズムとしてIL-17の抑制、IL-17産生CD4T細胞の抑制が一因となっていることが明らかとなり、IL-23/IL-12が肺気腫進展に重要な役割を担っていることが明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
IL-23が肺気腫進展に直接関与しているかどうかを明らかにするために、IL-23欠損マウスを用いてエラスターゼ誘導肺気腫を作成し、野生型マウスと比較検討をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
エラスターゼ誘導マウス肺気腫モデルにおける肺の解析、特に肺内のT細胞、Th17細胞、Th1細胞、CD8T細胞などの解析実験等がやや遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記、エラスターゼ誘導肺気腫の、肺内のT細胞サブセットの解析に用いる。
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