研究実績の概要 |
難治性で効果的な治療法がいまだに確立されていない進行性肺線維症である、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis, IPF)、線維性非特異性間質性肺炎(fibrotic non-specific interstitial pneumonia, f-NSIP),および、わが国ではいわゆる上肺野優位型肺線維症として診断されてきた新しい疾患概念であるpleuro-parenchymal fibroelastosis, PPFE)に関して、現在の時点で抗肺線維化作用の効果が示されているピルフェニドン、ニンテダニブ、およびタクロリムスの服薬前後の患者血清中のmiRNA(circuating miRNA, 循環miRNA)を、当該臨床施設の倫理委員会の承認を得たインフォームド。コンセントの書式に同意をいただいた患者を限定したうえで、網羅的に測定し、その臨床的な効果と比較することによって、まだ知られていない実際の薬剤効果の検証を試みた。 実際の測定された患者血清は22検体、10名の進行性肺線維症患者である。疾患としては臨床的な偏りもあってIPFが70%。fNSIP様からIPFに特徴的な病変に変化した2名、どちらかというとPPFEに近い進行性肺線維症が1名であった。初診時と薬剤服薬後の変化を見ることができたのはニンテダニブが6名、ピルフェニドンが1名で70%を占める。 得られた膨大な量データを、臨床データと詳細に検討を進めている。さらに以前肺線維症の動物モデルであるマウスにブレオマイシンを投与した肺線維症発症経過の血中miRNAのデータとつき合わせて解析をすすめる。
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