研究課題/領域番号 |
15K09231
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90468679)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞老化 / オートファジー / mTOR / Lamin B1 / Deptor |
研究実績の概要 |
COPD病態におけるLaminB1低下の機序と役割をさらに検討した。喫煙刺激によるLaminB1発現低下は、プロテアソーム阻害薬の存在下では回復しなかったが、オートファジーを阻害によりは回復した。以上より、喫煙刺激による核ラミンのオートファジー亢進により、LaminB1発現が低下する可能性が示唆された。LaminB1ノックダウンにより、mTOR阻害作用を持つDEPTORの発現低下を認め、DEPTORのノックダウンによりmTORの活性化、オートファジー誘導の抑制が認められた。つまり、LaminB1発現低下がDEPTOR発現抑制によりmTORを活性化し、オートファジー活性を阻害している可能性が示唆された。さらに、DEPTORノックダウンにより、ミトコンドリア由来ROSの上昇、細胞老化の亢進を認めた。DEPTORの発現低下が、LaminB1発現低下に起因するmTORの活性化、不十分なオートファジー誘導、そして細胞老化亢進に関与する可能性が示された。 LaminB1ノックダウンにより、細胞老化に特徴的でCOPDへの関与も報告されている代表的なヒストン修飾のH3K27me3とH3K9me3の発現低下、H4K20me3の増加を認めた。 喫煙刺激による核ラミンのオートファジー分解の亢進により、LaminB1発現が低下し、LaminB1発現低下がヒストン修飾を誘導し、DEPTOR発現低下を介してmTORが活性化し、オートファジー誘導が阻害されることで、不十分なオートファジー分解と細胞老化の亢進というCOPD病態に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COPD病態におけるLaminB1発現低下とその機序が解明されつつある。またLaminB1発現低下が細胞老化制御に及ぼす機序も明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
LaminB1発現低下によるヒストン修飾の変化が、細胞機能に及ぼす影響を、DPTOR発現制御機序との関連もも含めさらに検討を行う予定である。 COPD患者肺組織を用いて、LaminB1含め、さらに検討を行う予定である。
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