研究課題
本研究の申請時の目的は以下の3項目であり、それぞれの目的に対し、目標を達成して医学英文論文と特許申請を行った。(1)肺腺癌で高率かつ特異的に発現している癌精巣抗原XAGE1を用い、局所での発現、リンパ球浸潤、血清XAGE1抗体を指標として患者の免疫反応分類とその頻度を明らかにする。→ 肺腺がん120例の腫瘍組織(組織マイクロアレイ:TMA)を用いて、免疫関連分子の発言から分類し予後との関係を検討した。その結果、臨床病期1~3AではXAGE1発現とT細胞浸潤陰性は単独で予後不良因子であった。さらにPD-L1、Galectin-9、XAGE1、T細胞浸潤の因子でクラスター分類して予後予測算定式を考案し、この算定式によって高い精度で予後を推定可能にし特許出願(特願2015-096013)と英文論文として発表した。(2)我々の簡易な二大分類(抗原+抗体+、抗原+抗体-)から抗体陰性の機序を解明する。→ XAGE1は肺腺がんの約50%に発現するが、血清抗体はその約50%に検出される。その理由として、第一に遺伝的なFc受容体のアロタイプ、第二に腫瘍組織には制御性T細胞やB細胞浸潤が強いことがあげられるが、その他の因子は現在検討中である。(3)最終目的は免疫療法のアルゴリズムを策定・検証して(特許)、個別化免疫療法を確立する(例:XAGE1抗原+XAGE1抗体陽性→抗腫瘍免疫能あり→抗PD-1/PD-L1阻害薬が有効)。→ その結果は特願2017-094986に申請し、論文を投稿中である(現時点で詳細は公開できない)。
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