研究課題
CD11c-CreマウスとShp1-lox P(Ptpnfl/fl)マウスの交配により作成した樹状細胞特異的Shp1欠損(Shp1-CKO)マウスを用いて、腎臓における樹状細胞について検討を行った。以前の検討で、このShp1-CKOマウスは36-40週齢になると、抗核抗体、抗dsDNA抗体陽性となり、肺臓炎ならびに高度な増殖性腎炎を自然発症することを見出して報告している(Kaneko-T. J Immunol, 188:5397, 2012)。この腎病変について、その経時的な変化を、8週齢、20週齢、40週齢、60週齢のマウスを用いて検討した。酵素抗体法による腎組織染色ならびに腎臓内に局在する細胞群についてフローサイトメトリーを用いて検討を進めている。これまでに樹状細胞とマクロファージの両者のマーカーを持つCD11c陽性F4/80陽性細胞やヘルパーT細胞であるCD4陽性細胞が、特に尿細管間質や糸球体周囲に経時的に増加することを見出した。現在、これらの細胞が産生するサイトカインなどの検討を行いながら、各細胞の機能を解析中である。また上記の検討で、8週齢のShp1-CKO では、CD11c陽性細胞は主に尿細管間質に存在するが、光顕レベルでは組織障害はみられないことが明らかとなった。尿細管間質に存在する樹状細胞の間質線維化への影響を検討することを目的として、若年Shp1-CKOマウスとそのコントロールマウスを使用して、尿細管間質線維化モデルである一側尿細管結紮(UUO)モデルを作成する予備実験を実施した。現在、得られた腎組織について解析中である。
2: おおむね順調に進展している
Shp1-CKOマウスの順調に繁殖できており、本マウスを利用した研究を、円滑に進めることが出来ている。
Shp1-CKOマウスに自然発症する腎障害について、尿細管間質で増加する細胞群を中心にその機能解析を進めていく。また若年マウスを使用した一側尿細管結紮(UUO)モデルについて予備実験のデータを解析後、個体数を増やして検討を行う。
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