研究課題
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は補体関連因子の遺伝的・後天的異常により発症する疾患である。東京大学医学部附属病院は2014年9月に奈良県立医科大学輸血部からaHUS患者コホートならびに診断システムを引き継ぎ、2017年12月末までに180例の臨床的aHUS患者を同定した(うち77例は、奈良医大診断例、103例は東大コンサルト例)。2015年度より日本国内のaHUS症例の疫学的・蛋白質学的・遺伝学的解析を通して、本邦でのwhole exomeによる本疾患の遺伝子解析を目的として本研究活動を開始した。非典型溶血性尿毒症症候群事務局を東京大学で継続し、全国からの診断コンサルテーションを実施した。1998年から2016年9月末までに集積した臨床的aHUS患者は118例であり、本邦のaHUS患者の臨床的特徴について報告した。また本疾患は候補遺伝子も多く、また新規遺伝子も報告されつつあるため、本研究で次世代シークエンサーを用いたwhole exomeでの解析方法を樹立した。本疾患はCFH、CFHR遺伝子領域のrearrangementの異常と関連した患者も報告されているが、multiplex ligation-dependent probe amplification(MLPA)法による遺伝子コピー数解析方法を樹立し、本疾患でもこの領域の変異を持つ患者がいることを見出した。本研究成果により、既知遺伝子変異の検出のみならず、新規遺伝子変異の検証、新規遺伝子変異の探索も可能なexome解析を樹立した。またCFH、CFHR遺伝子領域の変異を見出した。本邦では諸外国と比較して遺伝的背景が異なり、また予後も諸外国と異なることを明らかにした。本疾患は複数の先天的、後天的要因を含んだ症候群であり、今後もさらに遺伝学的、蛋白質学的、疫学的解析を継続する必要がある。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
Clin Exp Nephrol.
巻: - ページ: -
10.1007/s10157-018-1549-3.
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Renal Replacement Therapy
巻: 3 ページ: -
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