研究課題/領域番号 |
15K09247
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
和田 健彦 東海大学, 医学部, 准教授 (90447409)
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研究分担者 |
川上 貴久 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10722093)
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50232509)
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90508079)
加藤 秀樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90625237)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糸球体足細胞 / 細胞骨格 / 糖尿病性腎症 |
研究実績の概要 |
本研究では、従来の糸球体足細胞傷害研究を基盤として糖尿病に関連する様々な代謝性ストレスが細胞骨格構造を変化させ、蛋白尿を惹起・増悪する機構を明らかにすることを目指している。 これまでにin vitroの系で、研究代表者が分離・樹立したマウス温度感受性培養糸球体足細胞に対して酸化ストレス・TGF-β1といった糖尿病関連ストレスを負荷し、その細胞骨格の変化や移動能の変化について確認したところ、それぞれのストレスや強度に応じた細胞骨格の変化や移動能の亢進効果について検出することができた。この現象に関連する機序として、足細胞の分化状態の変化が関与している可能性を想定し、細胞周期調節蛋白の発現の変化やWnt/β-catenin系の変化による分化状態の評価を行ったところ、一部の分子で有意な変化を検出した。また、これらのストレスの消去系として複数の活性型ビタミンDの効果について検討を加えているところである。 In vivoの系としては、まず当教室において使用可能な糖尿病モデル動物であるSTZラットを用いて、糸球体足細胞における細胞周期調節蛋白の発現の変化など分化状態の評価を行っている。研究分担者の東京大学医学部腎臓・内分泌内科においては2型糖尿病による糖尿病性腎症の病理組織学的所見をよく再現するBTBR-ob/obマウスを用いた検討も行われており、これらの検討を共同して行い、結果を統合して解釈することにより、糖尿病環境における足細胞のストレス応答についてより正確に評価することを想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、培養足細胞を用いた糖尿病関連代謝性ストレス応答に関する検討には一定の進展があるが、平成27年10月に研究代表者が異動した後、異動先における研究環境の整備や研究体制の構築に時間を要したために全体的に研究計画よりも進行が遅れている。現時点では研究環境・体制は整いつつあり、研究分担者の研究室と連携をとりつつ、上記の検討を進めている。また、下記の通り本研究を遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度までに培養足細胞を用いた糖尿病関連代謝性ストレスに対する細胞応答については、特に細胞周期調節蛋白発現や細胞骨格の変化の点で一定の成果を挙げている。一方で、翻訳後修飾に関する検討は条件検討の段階で時間を要しており、異なるメカニズムを検討する必要が生じる可能性がある。細胞周期調節蛋白は様々なシグナル伝達経路とも関連しており、それらについて検討を加えることも考慮している。 また、使用している培養足細胞においては、足細胞特異的分子の発現等において、生体内の足細胞とやや異なる点があるため、初代培養の足細胞についても同様の検討を加えていく必要性について検討している。 一方、動物モデルを用いた糖尿病環境下での足細胞形質転換の検討についても、複数のモデルで準備・実験を進めており、今後はその消去系も含めたデータを得られるよう計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年10月の研究代表者の異動により、異動先における研究環境の整備および研究体制構築に時間を要した影響が残り、計画された実験・研究の一部に遅延が生じているため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中に計画した研究を遂行する予定であり、培養細胞維持・ストレス負荷実験・分子生物学的実験試薬・生化学的実験試薬・実験動物維持飼育・病理学的解析用試薬等に使用する予定である。
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