研究課題
本研究は腎臓病患者におけるhigh density lipoprotein (HDL)の機能異常と尿毒症物質の関連、そしてその治療法の開発を目指すものである。HDLと尿毒症物質の関連を調査するために腎機能正常患者由来のHDLに尿毒症物質であるインドキシル硫酸(indoxyl sulfate, IS)を反応させ、マクロファージから脂質の取り込み能を調査した。ISと反応したHDLはマクロファージからの脂質取り込みが低下していた。以上から尿毒症物質はHDLに直接作用することでマクロファージの泡沫細胞化を促進し動脈硬化進展の一因である可能性が示唆された。尿毒症物質によるHDL機能異常を改善するために尿毒症物質をより効率的に除去する血液浄化療法について検討した。直接血液吸着によりヘキサデシル基固定セルロースビーズは透析患者血液中のインドキシル硫酸、p-クレシル硫酸、フェニル硫酸、インドール酢酸を部分的に吸着した。
2: おおむね順調に進展している
尿毒症物質によるHDLの機能評価法はISで確立された。他の尿毒症物質に関しても同様の方法で検討を進める。直接血液灌流による治療法を開発したがその効果は十分ではなく今後より効果的な方法を検討する必要がある。
尿毒症物質によるHDLの機能異常の評価に関してISの他種々の尿毒症物質について検討する。また腎臓病患者由来のHDL中尿毒症物質量を測定することで基礎研究との関連を調査する。臨床的治療法の解明としてヘキサデシル基固定セルロースビーズ以外の吸着材の検討を進める。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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