研究課題/領域番号 |
15K09250
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00463969)
|
研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | IgA腎症 / リシークエンス / 遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、家族性IgA腎症の新規遺伝子変異について遺伝学的に検証を進めた。対象とする家系の候補変異群において、現在までの大規模エクソームデータベースと参照したところ、SIPA1変異はいずれにも報告がなく、同IgA腎症家系の責任遺伝子変異である可能性が高いと考えられた。孤発性IgA腎症においても遺伝子変異の影響が認められるか、レアバリアント関連解析を行った。孤発性IgA腎症 376例および1100例のコントロール症例を対象として、候補変異であるPRDM1, SIPA1, VAV3, ST3GAL5, のリシークエンス解析を行った。全てのバリアントを対象とした関連解析では、IgA腎症とコントロールで有意差は認められなかったが、アレル頻度 1%以下のバリアントを対象とした関連解析では、SIPA1で suggestive レベルの有意差が認められた。家族性および孤発性IgA腎症に共通して関与する変異の可能性があり、注目される。SIPA1遺伝子改変マウスではB1a細胞の増加が認められ、免疫複合体型糸球体腎炎が発症することが報告されている。ヒトIgA腎症においても血中にB1細胞に対応すると考えられているCD5陽性CD19陽性細胞の増加が報告されており、SIPA1変異陽性細胞は、IgA腎症の発症メカニズムを解析する病態モデルになり得ると考えられた。現在、SIPA1変異陽性家系の症例の末梢血からBリンパ球を調整し、IgA産生へのクラススイッチに関与するサイトカイン・APRILに対する反応性を糖鎖不全IgA1の産生量で評価している。またBリンパ芽球不死化株を作成し、クローニングを進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
家族性IgA腎症のエクソーム解析から新規遺伝子変異を検出し、孤発性IgA腎症においても影響を与えうる変異をリシークエンス解析による関連解析で検討し得た。上記変異は遺伝子改変動物においても糸球体腎炎を発症しうることが判明しており、動物モデルおよびヒト細胞における解析でIgA腎症の発症モデルとして解析を進められると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、SIPA1変異について、家系症例の不死化Bリンパ球を用いてRNA-Seqから網羅的な発現情報解析を行い、IgA産生にかかわるパスウェイの変化を詳細に解析する。また遺伝子改変動物においてヒトIgA腎症との類似点を解析し、ヒト臨床検体へ応用する。IgA腎症の発症において、Bリンパ球サブセットの分子機構の解明は意義が大きい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
慎重に研究計画を遂行したが、極少額の残金が発生した。科研費を有効に活用するために次年度の予算と合わて使用することにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究消耗品に使用する予定
|