• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

進行性腎障害におけるTLR7を介した免疫担当細胞制御の意義

研究課題

研究課題/領域番号 15K09251
研究機関金沢大学

研究代表者

岩田 恭宜  金沢大学, 附属病院, 特任助教 (90432137)

研究分担者 和田 隆志  金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード病原体関連分子パターン / MRSA
研究実績の概要

今年度は、TLR7をはじめとするパターン認識受容体の、リガンド側因子についての検討を行った。パターン認識受容体の代表的なリガンドとして、細菌などの、病原体関連分子パターン(PAMPs)が挙げられるが、そのうち、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に着目して解析を進めた。
近年、ダプトマイシン(DAP) 感受性が低下したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株が報告されている。当院でも、同一患者より分離した、DAP治療中に非感受性となったMRSA株、その後、同薬の中止により感受性の戻った株が認められた。そこで、これら2株の網羅的遺伝子解析を行い、関連する遺伝子を検討することを目的とし、検討を進めた。得られた配列を、コントロール151株と比較した。
DAP非感受性株で37199箇所、感受性株で37544箇所の遺伝子変異を認めた。DAP非感受性株に特異的な遺伝子変異を4変異認めたが、いずれもアミノ酸変異を伴っていなかった。DAP非感受性株、感受性株に共通して、アミノ酸変異を伴うミスセンス変異を4遺伝子領域に4変異認めた。これらのうちMprF領域のL826Fは、これまでDAP非感受性への関与が報告されている変異であった。MprFの発現調整因子であるGraR, GraSの遺伝子配列は、両株とも同一の配列であった。これまでDAP非感受性の責任遺伝子と報告される変異が、非感受性株、感受性株ともに認められた。一方で、非感受性株では、細胞壁が厚く、感受性株ではコントロール株とほぼ同等に戻っていた。細胞壁形成関連因子と、その調節因子である二成分制御因子のmRNA発現はDAP非感受性株で更新しており、このことが薬剤耐性に関与することが考えられた。この結果は、現在論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述のように、本年度は、TLR7をはじめとするパターン認識受容体の、リガンド側因子についての検討を行った。病原体関連分子パターン(PAMPs)として、種々の炎症を惹起するMRSA、特にDAP非感受性MRSAを解析対象として、網羅的遺伝子解析を行った。遺伝子配列解析と、その変異解析も、順調に遂行できた。さらに、遺伝子の発現解析も、その機序解明のため必要であったが、菌体からのmRNA抽出やリアルタイムPCR法による検討も施行し得た。さらに、その細胞壁を観察する目的で、電子顕微鏡写真の撮影も行ったが、問題なく施行し得た。
これらの結果は、英文による論文としてまとめ、現在投稿中である。これらのことから、おおむね計画は順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後、PAMPsがTLR7などパターン認識受容体を介して免疫担当細胞に及ぼす影響と、進行性腎障害への関与を検討したいと考えている。TLR7欠損マウスにおいて、虚血再灌流障害や、糖尿病性腎症モデルを作成して解析中である。これらの病態におけるTLR7や、PAMPsの関与を、最終年度は検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究試薬のキャンペーン価格による購入、解析機器の代用などによって、支出の削減が可能であった。

次年度使用額の使用計画

マウスや研究試薬の消耗品の購入、解析機器の購入、論文の出版費などで使用予定である

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Peripheral blood plasmacytosis in severe fever with thrombocytopenia syndrome.2017

    • 著者名/発表者名
      Wada T, Iwata Y, Kamikawa Y, Wada T, Yachie A.
    • 雑誌名

      Jpn J Infect Dis.

      巻: - ページ: 印刷中

    • DOI

      doi: 10.7883/yoken.JJID.2016.575.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] FNDC4 acts as an anti-inflammatory factor on macrophages and improves colitis in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Bosma M, Gerling M, Pasto J, Georgiadi A, Graham E, Shilkova O, Iwata Y, Almer S, Soderman J, Toftgard R, Wermeling F, Bostrom EA, Bostrom PA.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 12 ページ: 11314

    • DOI

      doi: 10.1038/ncomms11314.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Effect of Autoantibodies to Erythropoietin Receptor in Systemic Lupus Erythematosus with Biopsy-proven Lupus Nephritis.2016

    • 著者名/発表者名
      Hara A, Furuichi K, Yamahana J, Yasuda H, Iwata Y, Sakai N, Shimizu M, Kaneko S, Wada T.
    • 雑誌名

      J Rheumatol.

      巻: 43 ページ: 1328-34

    • DOI

      doi: 10.3899/jrheum.151430. Epub 2016 May 1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clostridium difficileのITS-PCR typeと病原性に関する検討2016

    • 著者名/発表者名
      竹森優喜子、千田靖子、棟居知子、堀田宏、長原三輝夫、岩田恭宜、和田泰三、坂井佳夫、和田隆志
    • 雑誌名

      臨床病理

      巻: 64 ページ: 258-64

    • 査読あり
  • [学会発表] Genetic factors of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) has an impact on the development of AKI2016

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Iwata, Kenji Satou, Atsushi Hase, Kengo Furuichi, Yasuko Senda, Yukiko Takemori, Taizo Wada, Shinichi Fujita, Norihiko Sakai, Shinji Kitajima, Tadashi Toyama, Yasuyuki Shinozaki, Akihiro Sagara, Taro Miyagawa, Shuichi Kaneko and Takashi Wada
    • 学会等名
      kidney week 2016
    • 発表場所
      Chicago
    • 年月日
      2016-11-15 – 2016-11-20
    • 国際学会
  • [学会発表] Apoptosis inhibitor of macrophage (AIM) expression in the kidney was associated with increased proteinuria and decline in renal function2016

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Iwata, Megumi Oshima, Kengo Furuichi, Norihiko Sakai, Miho Shimizu, Akinori Hara, Shinji Kitajima, Tadashi Toyama, Yasuyuki Shinozaki, Akihiro Sagara, Eri Umeda, Shuichi Kaneko, Satoko Arai, Toru Miyazaki and Takashi Wada
    • 学会等名
      kidney week 2016
    • 発表場所
      Chicago
    • 年月日
      2016-11-15 – 2016-11-20
    • 国際学会
  • [学会発表] 細菌ゲノム解析からみる進行性腎疾患と全身2016

    • 著者名/発表者名
      岩田恭宜、和田隆志
    • 学会等名
      第59回日本腎臓学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-05-17 – 2016-05-19
    • 招待講演
  • [学会発表] 難治性嚢胞感染症により死亡した多発性嚢胞腎の一例2016

    • 著者名/発表者名
      岩田恭宜、大島恵、北島信治、竹森優喜子、千田靖子、和田泰三
    • 学会等名
      第90回日本感染症学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      2016-04-15 – 2016-04-16
  • [図書] 腎疾患患者の妊娠診療ガイドライン2017

    • 著者名/発表者名
      岩田恭宜
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] マクロファージのすべて2016

    • 著者名/発表者名
      岩田恭宜、和田隆志
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      医歯薬出版社
  • [図書] ヒトマイクロバイオーム研究最前線2016

    • 著者名/発表者名
      岩田恭宜、和田隆志
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      S&T出版

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi