研究課題/領域番号 |
15K09252
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
木村 秀樹 福井大学, 医学部附属病院, 准教授 (20283187)
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研究分担者 |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
菅谷 健 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 客員教授 (40381561)
糟野 健司 福井大学, 医学部, 准教授 (60455243)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | PPAR-a / L-FABP / 糸球体上皮細胞障害 / 糸球体硬化 / PPAR-d / PPAR欠損マウス / mProx |
研究実績の概要 |
1) PPAR-a欠損マウスおける易糸球体障害性の評価と障害機序の解析:PPAR-a KOマウスと1)対照マウス(S129)にドキソルビシン(10mg/kg)の1回注射を実施。KO群で3日、4日、7日、2週、3週、4週後の蛋白尿(g/gCr)が有意に高値であった。また、KO群で9日後の血清UN, 遊離脂肪酸,T-Chol, TGが有意に高く、4週後では血清Cr, BUN,T-cholが有意に高値であった。また、9日後と4週後の腎組織ではKO群で増殖・硬化を呈する糸球体の比率が有意に高値であった。さらに、糸球体上皮細胞の特異的マーカーであるポドカリキシン(PCX)の尿中排泄量(mg/gCr)はKO群で3日、4日、7日後に有意に高値となり、免疫組織の解析では4週後にKO群でPCX発現が有意に低下した。
2)マウス近位尿細管細胞株(mProx)と ヒト肝型脂肪酸結合蛋白の過剰発現(hLFABP-)mProxでの検討:L-FABP-mProxでは、mProxに比してパルミチン酸によるPPRE活性亢進が約60%程度増強し、HNF-4mRNAが100倍以上に、PPAR-a mRNAが約10倍に、マウスL-FABPが30倍に増加した。また、L-FABP-mProxでは、既定状態のMCP-1, CTGF発現とTNF-a誘導性MCP-1発現がmProxに比して有意に低下した。
3) 糸球体上皮細胞特異的(Pod)PPAR-d欠損(PDKO)マウスの作製:PPAR-dのLoxPマウス(B6系;ヘテロ)間で交配しF1のホモ接合体を作製し、ホモ接合体間で交配・維持した。次に、PPAR-dのLoxPマウス(ホモ体)とNephrin-Creマウスで交配し、PodPDKOマウスのヘテロ接合体を作製した。現在、ヘテロ接合体PodPDKOマウス間で交配し、ホモ接合体を作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24-26年度の課題を発展させる研究であり、継続的に実験が進められたためと考える。
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今後の研究の推進方策 |
PPAR-a欠損マウスの実験については、PPAR-a欠損マウスと対照マウスの間で再現性のある差が認められたため、今後はアポトーシスとオートファジーの解析を進める。PPAR活性化薬を用いた、治療実験も予定する。培養細胞実験では、ポドサイト培養を行い、ドキソルビシンの障害機序を確認するとともにPPAR活性化薬での治療実験を行う。また、PPAR-dの糸球体上皮特異的欠損マウスのホモ接合体を作出し、欠損遺伝子を腎組織で確認後、蛋白・機能欠損の確認を行う。並行して、自然経過と腎障害実験において対照マウスとの表現型の差異を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の科研採択が追加採択で内定日が平成27年10月21日であり、当該年度の経費の使用可能時期が12月上旬からで期間が短かったためと考えます。それまでは別の競争的資金を用いて研究課題と同様の実験を行っていたため、研究内容は概ね予定通りに実施できたものの、当初の予算の3分の1の使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の実験内容を拡大して、経費を使用してく予定である。新たな、遺伝子改変マウスの購入も検討していきたい。
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