研究課題
敗血症ではToll-like receptor (TLR) 9のリガンドであるミトコンドリアDNAが血中に増加する。TLR9欠損マウスでは、敗血症モデルによる腎障害が軽減されるが、TLR9経路の下流のメカニズムは明らかでない。本研究の目的は、TLR9経路の下流としてIL-17に着目し、敗血症による急性腎障害におけるTLR9 - IL-17経路の役割を解明することである。2015年度は、IL-17 (IL-17A) 欠損マウスを用いてCecal ligation and puncture (CLP) による敗血症モデルを作成し、IL-17欠損マウスでは野生種マウスより有意に腎障害や脾臓内アポトーシス、全身性の炎症性サイトカイン産生などが軽減していることを示した。2016年度は、IL-17欠損マウスでは野生種マウスより有意に敗血症の生存率が改善することを示した。またTLR9欠損マウスでは、敗血症モデルによる全身性のIL-17産生が抑制されていた。2017年度は、野生種マウスの脾臓内の細胞(NK細胞、好中球、Mφ、CD4陽性T細胞、γδT細胞)のうち、γδT細胞のみにおいてIL-17産生がCLP後早期から亢進していることをフローサイトメトリーによる解析にて示した。さらに、TLR9欠損マウスの脾臓内γδT細胞では、これらは抑制されていた。これらの結果は、敗血症早期においては、TLR9がIL-17の産生を制御している可能性を示唆している。
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