研究課題/領域番号 |
15K09256
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
勝野 敬之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60642337)
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研究分担者 |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 再生医学 / 間葉系幹細胞 / 卵膜 / 低血清培養 |
研究実績の概要 |
再生医療の分野では人工多能性幹細胞が注目されているが、安全性という点ではまだ克服すべき課題が存在する。一方で間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells : MSC)は安全性が高く、また同種他家移植が可能であるなど実用化という点で優位性がある。国内外で、MSCを用いた再生医療に関する臨床研究は数多く行われている。移植細胞ソースの多くは骨髄であるが、採取に関する身体への侵襲度が高く、かつ高齢者や様々な難治性疾患患者では良質な幹細胞を十分に確保することが難しいという点が指摘されている。また細胞治療分野における独創性を見出す点からも、細胞ソースを骨髄以外の組織に求める戦略が有用であると考える。近年、新たな移植細胞ソースとして卵膜に注目がおかれている。申請者らはこれまでの研究で、再生促進作用や免疫調整能を増強させる低血清培養脂肪組織由来MSCを独自に開発した。臨床試験において、卵膜由来MSCを用いた腎疾患治療は未だ登録されていない。研究の目的は、卵膜由来MSCの低血清培養法による新規細胞製剤の開発と腎疾患への臨床応用である。申請者らは、培養技術を応用すべく卵膜由来MSCにおける低血清培養法の確立に着手している。従来の卵膜由来MSCの研究で用いられた培養液の血清濃度を2%に変更した条件下では、培養過程でMSCの分化が確認された。また初代培養では、passage3で増殖速度が低下した。そのため、低血清培養脂肪組織由来MSCに準じて培養液にhFGF(human fibroblast growth factor)を添加し培養した。結果として、passage5まで増殖が進むもやはり未分化状態を維持することが困難であった。現時点では、卵膜由来MSCにおいて安定した増殖能を保つ低血清培養条件が定まっておらず今後の更なる研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現時点では、卵膜由来MSCを未分化のまま良好な増殖能を保つ低血清培養条件を見出せていない。そのため、細胞特性解析として、flo w cytometric analysisによる表面マーカーの解析、各種分化能(脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞)の確認、細胞増殖能やサイトカイ ン、成長因子の分泌能の検証ができていない。申請者らが独自に開発した低血清培養法が卵膜由来MSCでも脂肪組織由来MSCと同様に適応されるかの検証が必要である。細胞ソースが異なることに由来する細胞特性の違いが培養条件に影響をもたらしているのかもしれない 。卵膜由来MSCに適した培養液の血清濃度、添加すべき増殖因子などを網羅的に探索していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、まずpassage2で一度凍結保存することによって、分化したた細胞やその他MSCでない細胞の選別を行えるのではないかと考えている。凍結解凍後の細胞増殖実験を継続していく。その他、卵膜由来MSCの低血清培養に適した増殖因子の探索も継続する 。卵膜由来MSCの腎疾患への応用については、ラット腎炎モデル(抗糸球体基底膜抗体型腎炎モデル)での治療実験を検討している。腎炎モデルに卵膜由来MSCを経静脈投与し、BUN,Crによる腎機能、16時間蓄尿による蛋白尿、半月体や間質の組織評価を行う。機序解析ためには、腎組織のRT-PCRでMCP-1,IL-6,VEGF,HGFの測定、ELISAで血液中のIL-10の測定、FM-MSCの分布をGFP陽性細胞で追跡することを予定している。治療効果に関して、投与方法や投与回数での比較や脂肪組織由来MSCとの比較も予定している。
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