研究課題
腎血管構成細胞である血管内皮細胞・血管平滑筋細胞を用い、高血糖刺激、アンジオテンシンIIによる刺激、高インスリン刺激を行い、細動脈硬化に進展する際の、形質の変化を解析した。特に、インスリン刺激において、形質変化のキー分子であるSMAの発現誘導と、TGFβ-ALK1-Smad1およびBMP4-ALK3/6-Smad1のdual pathwayが長時間にわたり刺激を受けることが明らかとなった。Smad3ノックアウトマウスより初代培養系の確立に成功し、Smad3が欠損していると、BMP4-Smad1シグナルが増強し、リン酸化も遷延していた。高齢の野生型マウス(C57BL6)を用い、継時的に生理的な腎血管構成細胞におけるBMP4-Smad1の発現の経過を観察すると、腎の細小動脈および糸球体における血管構成細胞の形質が変化し、ALK3/6-pSmad1の出現が細動脈硬化部位に一致して認められた。このことから、進行は緩徐であるが、血管平滑筋細におけるBMP4およびSmad1の発現誘導、活性化が原因と考えられた。それを、in vivoで証明するため、血管平滑筋細胞特異的(SM22α-Creマウス)の各々と、BMP4 floxed マウスおよびSmad1 floxedマウスを交配させ、conditional KOマウスの産出でき、genotypingによる確認を終えた。コントロールマウスとともに、経時的な観察を行っている。緩徐な進展のため、現時点では、アルブミン尿には差異はみとめていない。
2: おおむね順調に進展している
血管内皮細胞特異的 (Tie2-Creマウス)を導入し、floxマウス交配させる予定としていたが、輸入元のジャクソン社の同マウスの微生物検査の結果が、当施設のSPFの基準を満たしていないため、同社のクリーンアップもしくは、他施設よりの導入を予定している。
高インスリンによるBMP4-Smad1シグナルの修飾が新たにin vitroで確認できたため、高齢マウスに、糖尿病もしくは肥満を誘導し、同シグナルが影響をうけるかどうかを解析する予定を新たに加えている。ヒトでも、高齢者にメタボや糖尿病が増えている現実ともマッチする内容と考えている。
購入予定であった抗体が、国内在庫がなく、輸入手配となったため、納期が次年度になった。
腎臓の組織染色に用いる予定の抗体であったため、次年度に予定していた、Western blotを前年度に前倒しで実施済みであり、全体の予定に遅れが生じないようにした。
すべて 2015
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Diabetes
巻: 64 ページ: 2978-2990
10.2337/db14-0893