研究課題/領域番号 |
15K09266
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
人見 浩史 香川大学, 医学部, 助教 (70346641)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 再生医学 / 移植・再生医療 / iPS細胞 / エリスロポエチン / 腎性貧血 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、iPS細胞技術を利用し、我々がこれまで独自に開発した分化誘導法を用い、ヒトiPS細胞由来エリスロポエチン産生細胞を生体に移植することによって、腎性貧血の生理的治療を行う細胞療法の開発することである。平成28年度は、エリスロポエチン産生細胞のモジュール(カセット)を作製し生体に移植することを計画していた。本研究に必須である腎性貧血マウスモデルが十分確立されていなかったため、マウスにアデニンを経口投与することで腎性貧血モデルを作製した。エリスロポエチン産生細胞を用いた細胞療法の開発のため、アデニンにより誘発した腎性貧血マウスにエリスロポエチン産生細胞を移植した。これにより腎性貧血は改善した。非常に重要なことに、エリスロポエチン産生細胞を移植されたマウスは多血症となることなく、この細胞を用いた生理的な貧血治療の可能性を示唆した。マウス血中にヒトエリスロポエチンの発現を認め、貧血改善効果はヒトiPS細胞から誘導された細胞から分泌されたエリスロポエチンによることが確認された。さらには免疫隔離デバイスにエリスロポエチン産生細胞を充てんし、臨床応用の可能性について検討した。平成28年度の研究成果で確立したエリスロポエチン産生細胞移植法は、渇望されるヒトiPS細胞を用いた生理的な腎性貧血治療に直結するものと考えている。現在、マウスiPS細胞から分化誘導したエリスロポエチン産生細胞を用い、自家移植すること目的に研究を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた研究内容については、ほぼ全て終了しておりおおむね予想された結果を得ることができた。得た知見を参考にし、また測定系や開発した細胞移植法などを流用し、平成29年度に計画している研究内容に関しても、一部予備実験を開始し、既に準備を行っている。現時点では研究計画の立案に際し、問題となると予想された点についても順調に遂行できている。そのため交付申請書に記載された研究目的に対する達成度としては、おおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究計画に関しては、おおむね順調に推移している。平成29年度は、マウスiPS細胞から分化誘導したエリスロポエチン産生細胞を、腎不全を惹起したマウスへ自家移植することを計画している。マウスiPS細胞の樹立およびエリスロポエチン産生細胞への誘導は、既に実験を開始しており、安定した結果を得ている。腎不全および腎性貧血のモデル動物作製は、これまでの予備実験により安定して作製可能である。また細胞移植に関しても、共同研究を行っている京都大学iPS細胞研究所で確立されており、連携して行う予定としている。研究を遂行する上で課題が生じた場合には、研究計画書に挙げた対策に沿って研究を行う予定である。
|