研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)患者の脂質異常の管理目標については未だ不明な点が多く、今後の検討を要する課題である。そこで、福岡県久山町 の一般住民を対象とした疫学研究(久山町研究)の成績を用いて、CKDの有無別に脂質異常が心血管病発症に及ぼす影響を検討した。 1988年の循環器健診を受診した40歳以上の男女2630名を19年間追跡した成績を用いて、CKDの有無別に血清non HDLコレステロール(non HDL-C)の上昇が心血管病発症に及ぼす影響を検討すると、non HDL-C上昇は心血管病発症の有意な危険因子であり、non HDL-Cの評価はCKD患者の心血管病発症を予測する上で重要であることが明らかになった。直ちにこの研究内容を論文化し、2016年に英文専門誌に掲載され た。(Usui T, Nagata M, Hata J, Mukai N, Hirakawa Y, Yoshida D, Kishimoto H, Kitazono T, Kiyohara Y, Ninomiya T. Serum N on-High-Density Lipoprotein Cholesterol and Risk of Cardiovascular Disease in Community Dwellers with Chronic Kidney Dis ease: the Hisayama Study. J Atheroscler Thromb, 2017. 24(7): 706-715) また2007年の循環器健診受診者(3384名、受診率78.2%)のデータ整備作業も並行して行っており、追跡調査も継続中である。データセット固定後にeGFRおよび尿中アルブミンと新規脂質マーカーに関する解析を行う予定である。
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