研究実績の概要 |
これまでの検討により、腎組織局所で誘導される自然炎症(慢性炎症)の一端を担うtoll-like receptor 4(TLR4)とその内因性リガンドの一つであるmyeloid-related protein 8 (MRP8)が腎症進展に重要な可能性を報告してきた。現在、組織局所で誘導される内因性リガンドMRP8あるいはMRP8の誘導因子に着目している。腎糸球体局所におけるMRP8の誘導機序については不明であるが、ヒトおよびマウスにおける現象はparacrineに働く因子の関与を示唆しており、現在までの検討でメサンギウム細胞が分泌する何らかの液性因子が腎糸球体局所浸潤マクロファージのMRP8発現に重要であることを確認している。H28年度計画では腎糸球体局所因子の同定およびMRP8が糸球体障害進展に果たす機序の解明を目指した検討を行った。糖尿病性腎症による糸球体障害進展に関わるMRP8を含む局所炎症およびER stressを誘導する経路として、それぞれNFkBおよびinterferon regulatory factor (IRF)が重要である。そこでNFkB-SEAP, IRF-Luc両者のdual reporterによる鋭敏な経時的モニタリングシステムの構築を行い、検討を行った。検討の結果、メサンギウム細胞培養上清刺激により認められるNFkB, IRF誘導はエクソソーム分画によって再現されることが明らかとなった。
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