慢性腎臓病(CKD)は国民の8人に1人の割合で存在し、進行すると透析に至り、さらなる治療法の開発が強く求められる代表的疾患の一つである。我々は糖尿病性腎症をはじめとするCKDにおける慢性炎症の役割について報告してきた。本研究ではCKDの原疾患の中でも重篤なものの一つである半月体形成性腎炎における炎症メディエーターMRP8の役割について検討を行った。その結果、MRP8の主な産生源である骨髄細胞特異的なMRP8の欠損はマクロファージ形質に影響を与えることで、腎炎を軽減できる可能性が示唆された。MRP8という炎症メディエーターが腎炎の新しい治療標的となることが期待される。
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