慢性腎臓病において、血管石灰化を生じることが様々な合併症に関与することが知られている。そこで、動物実験を通してこの機序を解明するために、慢性腎臓病の状態を再現したマウスで血管石灰化を生じるモデルを作成した。この時、大動脈の平滑筋細胞が本来の性質を失い、骨を形作る骨芽細胞様細胞への形質変換を生じていることが分子レベルで示され、多くの炎症を起こす疾患で重要な役割を果たすNFκBという蛋白が血管特異的に働かなくなるようにしたマウスでは、血管石灰化が改善することを明らかとした。以上の結果は、NFκB抑制薬が慢性腎臓病で見られる血管石灰化抑制薬として有用である可能性を示唆する極めて重要な知見と言える。
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