研究課題/領域番号 |
15K09277
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
宇都宮 一典 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50185047)
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研究分担者 |
川浪 大治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50568889)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病腎症 |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、ROCK2 floxマウスの作製を進めた。キメラマウスとCAG-Flpマウスの交配によって得られた第1世代(F1)ヘテロ接合体マウスを用い、薬剤耐性遺伝子の除去とFlpトランスジーンの除去を行った。F1ヘテロ接合体マウスとヘミ接合体CAG-Flpマウスとの交配で第2世代(F2)マウスを作製した。産子の体組織からgenomic DNAを抽出してPCRを行い、neomycin耐性遺伝子およびlacZレポーター遺伝子が除去されたROCK2コンディショナルノックアウトマウスを得た。次にこのF2マウスと野生型マウスとの自然交配で第3世代(F3)マウスを得て、同様にPCRを行いFlpトランスジーンが除去されたROCK2flox/+マウスを得ることに成功した。ROCK2 flox/floxマウスの作製に向けて交配を進めている。その後、Creマウスとの交配を行い、臓器特異的なROCK2ノックアウトマウスを作製し、糖尿病モデルを用いた検討を進める。同時にin vitroでの検討も進めた。マウス培養メサンギウム細胞(MES-13)においてTGF-betaで刺激を行うと糸球体硬化に主要な役割を果たすconnective tissue growth factor (CTGF)の発現が誘導されることが知られているが、この過程におけるROCKの関与について解析を行った。TGF-betaによってROCKの活性化がおき、ROCK阻害薬(ROCK1およびROCK2を阻害)によってCTGFの発現が抑制されることが明らかになった。また、ROCK2を阻害するとの同様にCTGF発現が抑制された。今後は糸球体構成細胞におけるROCK2が有する機能について上記のコンディショナルノックアウトマウスを用いて詳細に検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ROCK2flox/+マウスを得る際に、Flpトランスジーンの除去に想定よりも多くの時間を要したため。今後は速やかにROCK2flox/floxマウスの作製とCreマウスとの交配を進め、プロジェクトの進行に努める。
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今後の研究の推進方策 |
まずは臓器特異的ROCK2欠損マウスの作製に注力する。予備的な検討からROCK2が糸球体構成細胞のうちポドサイトと内皮細胞において重要な役割を果たすことが示唆されている。このことから、これらの細胞に特異的なプロモーターのCreマウスと交配させ、糖尿病モデルを作製する予定である。アルブミン尿の推移はもちろんのこと、血糖や血圧、体重といった生理的パラメーターの変化についても観察を行い、病理学的な検討を加える。さらには、メカニズムの解析としてin vitroあるいはex vivoの検討を加えROCK2が糸球体硬化形成に果たす役割を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した金額をほぼ使用したが、消耗品購入の際に若干の残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度の実験計画の遂行において全額使用する予定である。
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