研究課題
今年度はROCK2 flox/floxマウスの樹立に成功した。また、糖尿病腎症におけるROCK2の役割について、in vitroでの検討を進めた。メサンギウム細胞において、transforming growth factor (TGF)-βが細胞外基質の産生を亢進させることで、糸球体硬化を形成する。この過程におけるROCK2の役割について検討を行った。メサンギウム細胞(MES-13)をTGF-βで刺激したところ、Rho-kinaseの活性化とともにCTGFの発現が亢進したが、Rho-kinase阻害薬Y-27632はこれらの発現を抑制した。さらに、Y-27632がTGF-β刺激に伴うNF-kBの核内移行を抑制することをWestern blotおよび免疫染色で確認した。Rho-kinaseはアクチン骨格の再構築を制御するが、この点に着目しNF-kB核内移行における役割について検討を進めた。siRNAを用いてROCK1、ROCK2をそれぞれノックダウンしたところ、ROCK2をノックダウンした場合にのみCTGFの発現が抑制された。近年、ROCK2特異的阻害薬としてSLx-2119が開発されている。我々はメサンギウム細胞において、ROCK2阻害薬SLx-2119はNF-kBの核内移行を抑制することをWestern blotおよび免疫染色で確認した。以上の結果から、Rho-kinaseはアクチン動態を介したNF-kBの核内移行によってCTGFの発現を制御することが明らかになった。
4: 遅れている
遺伝子改変マウスの作製が当初より遅れているため
今年度の研究で得られたROCK2flox/floxマウスをpodocin-Creと交配させて、ポドサイト徳的なROCK2欠損マウスの作製を進める。このマウスを用いて糖尿病モデルを作製し、ポドサイト機能に与える影響について解析を行う。また、メサンギウム細胞で確認されたROCK2による細胞外基質産生の制御機構がポドサイトにも存在するのか、in vitroでの検討も行う。
in vivoの研究計画を遂行すべく、ROCK2flox/floxマウスを得るための交配に多くの時間を費やした。そのため、予定していたin vivoでの実験を実施できなかったことが要因である。今後、臓器特異的なCreマウスとの交配を進め、糖尿病モデルを用いた検討を行う予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件)
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