研究実績の概要 |
ダイナミックCT撮影による有効腎血漿流量(CT-ERPF)および糸球体濾過量(CT-GFR)測定の方法論を確立した。低線量撮影プロトコールは①~⑥である。①造影剤投与後8秒から2秒間隔で低線量ダイナミック撮影、②38秒動脈相、③50秒静脈相、④80秒追加相、⑤120秒平衡相、⑥300秒排泄相。時刻tにおける腎動脈血中の造影剤濃度をCa(t)[mg/ml]、間質部における造影剤濃度をCk(t)[mg/cm3]、糸球体部を含む尿細管内の造影剤濃度をCt(t)[mg/ cm3]とする3つのコンパートメントからなるモデルにて、腎動脈血中から間質部への造影剤の移行定数をK1,血中へ逆拡散する移行定数をk2,糸球体から尿細管への移行定数をk3とおき、Patlak法により腎血漿流量を算出する。 (K1+k3)画像からバックグランドを減算して局所のk3画像や局所GFR画像を得る。16例の腎機能正常な腎移植ドナーでCT-GFRとイヌリンクリアランスはr = 0.76,p = 0.00063と高い相関を認めた。腎皮質表層と深層のCT-ERPFとCT-GFRを比較した。腎機能正常者13例では腎皮質深層CT-ERPF2.61±0.87mL/min/cm2、CT-GFR0.63±0.15mL/min/cm2、腎皮質表層CT-ERPF2.61±0.88mL/min/cm2、CT-GFR0.66±0.14であった。一方 敗血症症例では腎皮質深層CT-ERPF0.615mL/min/cm2、CT-GFR0.452mL/min/cm2,腎皮質表層CT-ERPF0.650mL/min/cm2、CT-GFR0.461mL/min/cm2 であった。今回の敗血症症例では皮質表層と外層でGFR、ERPFに差異を認なかった。今後皮質と髄質の血漿流量についても健常者と敗血症症例の比較を行うとともに、臨床での実用化を目指す。
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