研究課題/領域番号 |
15K09282
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
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研究分担者 |
林 宏樹 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10378086)
進藤 有一郎 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60608884)
西村 邦宏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (70397834)
小出 滋久 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40760913)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臓器連関 / 肺腎連関 / 肺炎 / 急性腎傷害 / AKI |
研究実績の概要 |
腎傷害時に, 心臓をはじめ遠隔臓器に傷害が波及する臓器連関が知られているが, 腎と肺をむすぶ連関の知見は乏しいため, 急性・慢性を代表する病態で腎肺連関の存在を証明する. まず入院肺炎コホートにおける急性腎傷害 (AKI) 発症と予後に関する前向き観察研究により, 急性の腎肺連関を明らかにする (研究①), 次に慢性腎臓病 (CKD) が慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の呼吸機能, 筋力, 運動耐容能におよぼす影響を横断的に検証し (研究②) , さらにCKD合併の有無と栄養障害に着目し, COPD患者の呼吸リハビリテーションに前向き介入することで (研究③) , 慢性の腎肺連関を明らかにする予定である. 本研究は単に腎と肺のクロストークを証明するだけでなく, 今後の医療は, 単臓器にとらわれず, 臓器連関を踏まえた診療が重要であることを提言するものである. これまで, 腎と肺の連関にせまる臨床研究は殆んどなされておらず, 本研究は腎疾患の臓器連関に関する新規の情報を, 広範に提供して貢献するものである. 前向き肺炎コホートでAKIを加味した新たな重症度スコアが提唱されれば, 本邦で年間11万人以上が死亡し,悪性新生物,心疾患に次いで,第3位の死亡数をしめる肺炎診療において, 死亡リスクを容易にかつ正確に予測することが可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
入院肺炎コホートにおける急性腎傷害 (AKI) 発症と予後に関する前向き観察研究のデータ収集を終了した.
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今後の研究の推進方策 |
入院肺炎コホートにおける急性腎傷害 (AKI) 発症と予後に関する前向き観察研究において収集されたデータをもとに, Cox比例ハザードモデルにより, 30日死亡・入院死亡をoutcomeとして, PSI, CURB65, A-DROPなど従来の重症度スコアに含まれる古典的リスク要因を, 多変量解析におけるベータ係数をもとに重み付けによって点数化し, 日本人のリスクスコアを作成する. ここにAKIの有無やステージ, 回復の有無などを含めたリスクスコアを作成し, ROC分析によりCJLSGコホートによる日本人スコアとオリジナルのAKIを含むスコア間の性能評価を行う. またリスクスコアに関してはニューラルネットなどのデーターマイニング手法でも検討し, スコアの重み付けの妥当性を検討する. Webベースでも簡便にリスクスコア算出を行うコンピュータープログラムを開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
入院肺炎コホートにおける急性腎傷害 (AKI) 発症と予後に関する前向き観察研究 (研究①)のデータ収集は予定通りに進行している。しかし、慢性腎臓病 (CKD) が慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の呼吸機能, 筋力, 運動耐容能におよぼす影響の横断的に検証 (研究②) , さらにCKD合併の有無と栄養障害に着目したCOPD患者の呼吸リハビリテーションに関する前向き研究(研究③) については進行に遅れが生じているため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究①では、既存の肺炎重症度スコアであるPSI, CURB65, A-DROPを比較対象として, 30日死亡・入院死亡を予測する新たなAKIを加味した重症度スコアを提唱する. さらに, Webベースでも簡便にリスクスコア算出を行うコンピュータープログラムを開発する. 研究②、研究③の進行を促す。
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