研究課題/領域番号 |
15K09284
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 正志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90595662)
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研究分担者 |
堀田 晶子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20534895)
中村 元信 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40459524)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NBCe1 / AKT / mTORC |
研究実績の概要 |
インスリンによるNBCe1の機能刺激作用がAKT2を介する事は予備実験において確認していたが、その経路についてさらに詳細な検討を行った。ラットおよび腎癌摘出時に得られたヒトの腎臓から単離した近位尿細管において、インスリンによるNBCe1の機能刺激作用はAkt1/2 inhibitorによりほぼ完全に抑制された。また、AKT1、AKT2それぞれに対するsiRNAをラットの単離尿細管に作用させた。インスリンによるNBCe1の機能刺激作用はAkt2に対するsiRNAによりほぼ完全に抑制されたが、Akt1に対するsiRNAによっては影響を受けなかった。これらの結果からインスリンによるNBCe1の機能刺激作用はAKT1ではなくAKT2を介するものと考えられた。次にインスリンによるNBCe1の機能刺激作用に対するmTORCの関与について検討した。ラットおよびヒトの腎臓から単離した近位尿細管においてインスリンによるNBCe1の機能刺激作用はmTORC1阻害剤ラパマイシンの影響は受けなかったが、mTORC1/2阻害剤PP242により抑制された。また、mTORC1、mTORC2それぞれの構成要素に対するsiRNAをラットの単離尿細管に作用させた。インスリンによるNBCe1の機能刺激作用はmTORC2を構成するRictorに対するsiRNAによりは抑制されたが、mTORC1を構成するRaptorに対するsiRNAの影響は受けなかった。これらの結果からインスリンによるNBCe1刺激作用はmTORC1ではなくmTORC2が介していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インスリンによるNBCe1の機能刺激作用がAKT2、mTORC2を介することが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
インスリンによるNBCe1の刺激作用の経路をさらに詳細に解析する。インスリン/IRS2/AKTの経路ではmTORC2はAKT2のSer473をリン酸化することにより活性化されていると考えられているが、NBCe1の経路でも同様にAKTのリン酸化が行われているか検討する。また、アンジオテンシンII、チアゾリジン系糖尿病薬によるNBCe1の刺激作用についてもAKT、mTORCの経路が関与しているかについて検討を行う。さらに、V-ATPase活性/メガリン依存性エンドサイトーシスの近位尿細管ナトリウム輸送への関与についてV解析を行う。V-ATPase活性を特異的阻害剤やsiRNAにより抑制し、NBCe1, NHE3などナトリウム輸送体活性、発現量、ホルモン感受性などの変化を検討する。また、インスリン、AngII、TZDなどナトリウム輸送調節因子がV-ATPase活性/メガリン依存性エンドサイトーシスへ与える影響を検討する。
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