研究課題/領域番号 |
15K09287
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
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研究分担者 |
水野 正司 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20303638)
鈴木 康弘 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (20584676)
坂田 史子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (20726484)
武井 佳史 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (70362233)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腹膜透析 / 透過性亢進 / D/P Cr / リンパ管 / 炎症 / 食塩 |
研究実績の概要 |
本研究は『腹膜透析(PD)開始時にみられる腹膜機能障害』や『慢性腎臓病』の病態改善を目指して、リンパ管新生の抑制、或いは促進を基盤技術とした新規治療戦略を確立することを目的とした。『PD開始時腹膜機能障害』の病態解析プロジェクトでは、腎不全モデルに塩負荷を行い、臓器障害を評価・検討した。高食塩摂取では腹壁組織、大動脈周囲、心筋にマクロファージ浸潤から線維化が起きることを証明した。軟部組織へのNa+蓄積がおき、局所に高浸透圧状態が生じ、転写因子tonicity-responsive enhancer binding protein(TonEBP)、MCP-1の経路を介してマクロファージが浸潤する。炎症が進展する本機序を動物モデルとともに培養中皮細胞、心筋細胞を用いて証明した。そして本マウスにおいて、血管新生、リンパ管新生とともに、腹膜透過性亢進がおきることも明らかにした。炎症の中心的な役割を果たしているのがIL-6であり、塩の負荷を中止すると、このサイクルはとまり、TonEBP低下からMCP-1低下、マクロファージ浸潤、炎症が抑制されることを示した。このことは、腎不全患者が、透析治療にはいってからでも食塩制限すると全身の臓器障害、腹膜透過性が改善することを示している。 慢性腎不全患者の予後を決める一因子の炎症に、食塩過剰摂取が関与していることを明らかにし、臓器障害に及び予後改善の治療ターゲットになることを、国際腹膜透析学会、米国腎臓学会にて発表した。 『慢性腎臓病』においては、間質障害モデルを用いて、リンパ管新生によって炎症改善から線維化軽減がおきるかを検討中である。
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