研究課題
1. 腹膜透析(PD)患者のPD排液から作成した中皮細胞初代培養細胞を用いて、長期PDが中皮細胞上の補体制御因子(CReg)の発現を介して、腹腔内の補体系の影響について明らかにするために、経年的にFACSによる解析を進めている。現時時点で、15症例でPD導入後から3年目までの腹膜中皮細胞のCRegの発現の変化を終えている。これまでの結果では、特に導入後から、1年目を経過した時点で、一部のCRegの発現に影響を受けていることが観察できている。現在は、得られた現象が確実なものであるのかどうかを検証するために症例数を増やしている。さらにPDのどの要素がヒト中皮細胞のCRegの発現に影響をもたらすのか、検索を行っているが、現在施行中のFACSを用いた系では、多数の要素を同時に検証することができないため、ヒト中皮細胞のcell lineを用いて、同時に多数の刺激実験を行う系の整備を行っている。本研究により、現在のPD液が補体制御系に与える機序の解明が進むものと考える。2. PD関連腹膜炎の排液中の補体活性化産物の測定により、原因菌の予想や膜炎(その後の腹膜傷害を含む)の予後を考慮するためのバイオマーカーとしての利用について検討を、現在もn数を増やし検討を継続中である。これまでのところでは、腹膜炎経過中にPD継続の有無を求められるDay5を中心に、特に判断のむずかしい培養陰性例に焦点を当てて検討中である。3.真菌感染後発症する非嚢性腹膜硬化症(EPS)機序解明のために、Zymosanを用いた腸管腹膜炎モデル作成と臨床上問題となる臓側腹膜の評価方法を確立した(2015年ヨーロッパ補体学会(Uppsala)で発表)。本モデルへの補体の関与としてC5aの関与について明らかにし、かつ、腹膜傷害のコントロールのためにC5aに関連する治療介入についての検討を行ってる。。
2: おおむね順調に進展している
概要1については、時間経過に伴う実験結果の解析のために、研究を継続中である。これまでのところ、腹膜透析導入時から経過を追っていくと腹膜中皮細胞上の膜補体制御因子の発現が影響を受けている可能性を明らかにしている。本研究目的の一部として、長期の時間経過を加味した観察データが必要なため、このあとも、経時的にサンプル収集を行い、解析を行っていく。概要2については、研究の継続と共に、成果の一部を論文化する作業を進めている。概要3については、成果の一部を昨年夏に発表し、現在、追加実験を進めている。このため、本年度の成果を自己判断すると、おおむね順調と判断する。
腹膜透析が与える、腹膜での補体系の働きの異常を明らかにし、補体から見た腹膜傷害の機序の解明を行う。今後、抗補体療法という新たな介入により、腹膜傷害の予防・治療の可能性を模索行うため、in vivoとin vitroの研究を本研究を進める。今後も、腹膜透析に限らず、日本の補体研究の中心となるべく、研究を遂行しいく。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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