研究課題/領域番号 |
15K09290
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱野 高行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (50403077)
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研究分担者 |
松井 功 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60456986)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エリスロポエチン / リン負荷 / 貧血 / 赤血球分化 |
研究実績の概要 |
予備検討はラットを用いて行ったが、erythropoietin ELISAなどのアッセイ系の信頼性がラットサンプルについては十分確立されていないため、本実験では6週齢C57BL/6マウスを用いた(マウスサンプルについてはELISAなどの信頼性が確立されている)。 マウスの赤血球寿命は3週間程度とされているため、C57BL/6J マウスに0.29% Pあるいは1.2% Pを3週間負荷し、末梢血で貧血を評価したところ、1.2%P負荷でややRBCが低下傾向にあるものの有意差を認めなかった。しかしながら、骨髄細胞をCD44とTer119で展開したFACSの結果、1.2% P餌負荷マウスにおいて赤血球の分化障害が認められた。つまり、経口リン負荷により赤血球分化が抑制されることが明らかになった。 骨髄細胞の解析にて高リン食による赤血球分化抑制が明らかになったのに、高リン食により貧血が認められなかったため、更なる検討を行った。ヒト(成体)においては骨髄でのみ赤血球の造血が行われているが、マウスでは生体においても骨髄以外に脾臓で活発な造血が行われており、脾臓における造血はエリスロポエチン非依存性であることが知られている。このため、マウスでは脾臓におけるエリスロポエチン非依存性造血のため、貧血が認められなかったのではないかと考え、脾摘+片腎摘マウスに0.29% Pあるいは1.2% Pを3週間負荷した。その結果1.2% P負荷にて貧血が認められることを明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
erythropoietin ELISAなどのアッセイ系の信頼性がラットサンプルについては十分確立されておらず、ラットからマウスに系の変更を要したため。また、マウスでは生体においても骨髄以外に脾臓で活発な造血が行われており、そのために脾摘などをして解析する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、炭酸ランタン投与によって生体に対するリン負荷を低減することで、赤血球分化がどうなるかを評価していく。また、EPO-GFP transgenic mouseを使って、EPO発現を可視化して評価する予定である。さらには、高リン負荷が、in vivo, in vitroにおいて、HIFのユビキチン、プロテアソーム系での分解にいかなる影響を及ぼすかを、GATA系の評価とともに行う。具体的には、HePG2細胞やREP細胞において、リン負荷、FGF23負荷、PTH負荷を行い、GATAの産生、HIFの産生分解を分子レベルで調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注予定の試薬が在庫切れだったため、使用額と交付額に差異が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬入手次第、充当する予定です。
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