研究実績の概要 |
副甲状腺細胞膜上のメガリンは、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌調節に寄与する。また、副甲状腺アデノーマや2次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)患者の副甲状腺では、メガリンの発現が低下し、これらの病態に関与すると考えられるが、メガリンの発現調節機構は未解明である。本研究では、これら病的副甲状腺におけるメガリン発現低下の原因を解明するために、1.副甲状腺機能亢進症の進展に伴う副甲状腺メガリン発現の変化と、その他の受容体との関連、2.副甲状腺におけるメガリン発現がビタミンDシグナルにより調節されるか?、3.副甲状腺におけるメガリン発現がCaRを介して調節されるか?について検討を行った。 現在、副甲状腺メガリン発現を免疫染色法にて半定量し、原発性副甲状腺機能亢進症においては、正常副甲状腺と比較し発現の低下、2次性副甲状腺機能亢進症においては、さらに発現が低下していることを認めた。 また、ヒト副甲状腺初代培養細胞系を用いて、検討を進めている。副甲状腺メガリンの機能を解析した先行研究において、25水酸化ビタミンD(25OHD)が副甲状腺細胞におけるPTH分泌抑制機構において重要な役割を担うことを示した。メガリンはLow Density Lipoprotein- Related Proteinファミリーに属し、1,25位水酸化ビタミンD(1,25(OH)2D)の前駆体である25OHDやreceptor-associated -protein (RAP)等の近位尿細管細胞内への取り込みに関与する。また、RAPはメガリンと共に細胞内に取り込まれることで細胞膜上のメガリン分布量を減らすことより、メガリン機能の抑制を行う。RAPを使用することで、メガリンのPTH分泌調節機構について検討を行った。
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