研究課題/領域番号 |
15K09297
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小林 敬 順天堂大学, 医学部, 助教 (70459056)
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研究分担者 |
菅谷 健 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (40381561)
富野 康日己 順天堂大学, 医学部, 名誉教授 (60130077)
鈴木 祐介 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70372935)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 腎交感神経 / 酸化ストレス / L-FABP |
研究実績の概要 |
まずSASモデルにおいて、wildtypeによる変化を確認した。交感神経活性の指標である尿中ノルエピネフリン濃度の上昇がみられ、今回のSASモデルにおいて交感神経が活性化していることが確認された。また腎局所においては腎虚血の増強が認められ、全身性酸化ストレスのマーカー8-OHdGの尿中排泄レベルは、有意に増加した。アンギオテンシノーゲン(AGT)の尿中排泄レベルは顕著に増加し、尿中ナトリウムは減少した。すなわち、今回のSASモデルにおいて、酸化ストレスは増加し、RAS亢進、Na貯留が起こっている可能性が示唆された。これに一致するように、血圧はSAS負荷1週間後には上昇が認められ、観察期間中持続した。今回作成したSASモデルでは血圧の上昇以外、明らかな臓器障害(尿中Alb等)は認めなかったが、内皮障害のサロゲートマーカーであるADMAの上昇が観察された。 次に、交感神経の除去を行ったモデルで同様のことを確認した。SAS負荷で増加した酸化ストレスマーカー尿中8-OHdGは、除神経処理により抑制されることが観察された。尿中AGTも、除神経でほぼ完全に抑制され、尿中ナトリウムは対照レベルにまで戻った。これに一致するように、血圧上昇も完全に抑制された。また血清ADMA値の上昇を完全に抑制した。 以上の結果より、腎交感神経の遮断は、SASで増強したレニンアンギオテンシン系の異常、酸化ストレスの亢進、血管内皮障害を抑制し、高血圧の発症を抑制する可能性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
wildtypeにおけるSASモデル、SAS+除神経モデルでの評価を終えた。現在L-FABPにおけるSASモデル、SAS+除神経モデルを作成し、評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
L-FABPにおけるSASモデル、SAS+除神経モデルを作成し、酸化ストレス(尿中8-OHdG)、レニンアンギオテンシン系(尿中AGT、尿中Na)、血圧、臓器障害(血清ADMA)での評価を行っていく。またL-FABP自体のSASでの動態についても確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
L-FABPマウスを使用したSASモデル、SAS+除神経モデルの作成は終了しているが、解析はこれから行うため、解析費用がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に解析を行う予定である。
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