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2016 年度 実施状況報告書

血管石灰化退縮治療の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K09304
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

徳本 正憲  福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (80404010)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード血管石灰化
研究実績の概要

まず初めに、ヒト血管平滑筋細胞を用い、リン酸(P)負荷により石灰化が誘導され、血管平滑筋細胞が骨芽細胞様細胞に形質変化することを確認した。
次に、これまで血管石灰化を退縮させる可能性が示唆されているエチドロネート、チオ硫酸ナトリウム、カルシウム受容体作動薬R568のP負荷による血管平滑筋細胞石灰化に対する発症・進展抑制効果を調べた。エチドロネートとカルシウム受容体作動薬R568には、P負荷による血管平滑筋細胞石灰化に対する発症・進展抑制効果が認められたが、カルシウム受容体作動薬R568の石灰化発症・進展抑制効果は軽度で、チオ硫酸ナトリウムには認められなかった。
この結果を元に、P制限およびエチドロネートの投与によって、P負荷により一旦形成された血管平滑筋細胞の石灰化および骨芽細胞様形質変化が元に戻るか否かを検討した。ヒト血管平滑筋細胞をDMEM+10%FBSでコンフルエントに至るまで培養した後、P 2.0mMを負荷して1週間培養すると、血管平滑筋細胞の石灰化および骨芽細胞様形質変化が認められた。この状態から、エチドロネートを10μM1週間投与すると、石灰化の進展(p < 0.01)および骨形成性転写因子であるMSX2の発現(p < 0.05)が抑制された。しかしながら、石灰化の退縮には至らなかったため、同様にPi 2.0mMを負荷して1週間培養し、血管平滑筋細胞の石灰化および骨芽細胞様形質変化を誘導した後に、P負荷を解除すると同時にエチドロネートを5あるいは10μM1週間投与すると、石灰化が退縮(p < 0.01)し、軟骨細胞様細胞の転写因子であるSOX9の発現が抑制された(p < 0.01)。
以上のことから、現在血管石灰化退縮の可能性が示唆されている治療の中で、P制限をすると同時にエチドロネートを投与する方法が血管石灰化退縮に対して最も効果的である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

血管石灰化の進展を抑制する因子はいくつか明らかとなってきたが、骨芽細胞様に形質変化した平滑筋細胞の形質を元に戻す治療が中々明らかにできなかったため、次のステップである、石灰化退縮治療の候補が単球の破骨細胞分化に及ぼす影響を調べる研究に進むことができなかったため。

今後の研究の推進方策

骨芽細胞様に形質変化した血管平滑筋細胞の形質を元に戻す可能性が示唆された、リン酸制限およびエチドロネートの投与が単球の破骨細胞様分化に及ぼす影響を明らかにした後、可能であれば、骨芽細胞様細胞と単球の共存培養およびin vivoにおいて、石灰化の退縮に対する効果を明らかにしていくこととする。

次年度使用額が生じた理由

残金が少なく、購入したい物品を購入することができなかったため。

次年度使用額の使用計画

まず、破骨細胞誘導のために、ヒト培養単核球、GM-CSF、RANKLを購入し、破骨細胞の誘導に成功した後に、エチドロネートおよびリン酸制限の影響を検討し、さらには骨芽細胞様に形質転換した血管平滑筋細胞と共存培養できるように物品を購入する予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The protective effects of caloric restriction on phosphate-induced calcification via the up-regulation of SIRT1 in human vascular smooth muscle cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Masanori Tokumoto, Shunsuke Yamada, Kazuhiko Tsuruya, Takanari Kitazono, Hiroaki Ooboshi
    • 学会等名
      Renal Week 2016
    • 発表場所
      Chicago, USA
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-19
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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