Alzheimer 病(AD)ではAbeta oligomer とTauopathy による認知症の発症病態とバイオマーカーの自然経過が明らかにされ,病態修飾薬の開発が熱望されている.本研究では1) 新たな病態修飾薬M1(Abeta4-10 エピトープを発現する遺伝子組み換え大豆食品による経口免疫)を2) CRND8 マウスの行動実験とAbetaおよび関連分画の網羅的定量で検証し,Abeta oligomer の役割と治療介入に有用なマーカーを明らかにして,根本的な治療薬開発を行う.弘前のPSEN1 H163R 家系の経過観察研究をおこない,国際臨床治験への参入準備を行う事を目的に,平成27年度はM1蛋白の経口免疫によるMorris水迷路試験によって12週から著明になる認知機能低下の予防効果を解明し,平成28年度は脳内Abeta Oligomerの蓄積を予防し,高分子Abeta Oligomerのsequestrationの機序を明らかにした.また,組織学的にもAbetaの蓄積進行の予防が可能であることを明らかにした.平成29年度はAPP代謝や副作用の各カスケードの解析を行い,いずれも神経障害性の副作用は起こらないことを明らかにした.以上より,新たな病態修飾薬としてM1が有望である事を解明し,国際学会発表を行い,雑誌に投稿中である. Hirosaki家系の解析については,すべての構成員の発症と非発症および経過を解析し,発症は平均48歳,経過は10年であり,女性でより長いことを確認した.遺伝子カウンセリング,バイオマーカーのシステムを確立し,国際的なDIAN研究と共同研究をおこなった.
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