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2016 年度 実施状況報告書

慢性脳低灌流状態における微小脳循環調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09313
研究機関三重大学

研究代表者

矢田 健一郎  三重大学, 医学系研究科, 産学官連携研究員 (40467361)

研究分担者 及川 伸二  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10277006)
冨本 秀和  三重大学, 医学系研究科, 教授 (80324648)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード脳循環予備能 / 代償性血管拡張 / 二光子顕微鏡 / 脳灌流圧低下 / アセタゾラマイド
研究実績の概要

脳主幹動脈狭窄性病変に伴う慢性脳低灌流状態では、血管抵抗を減らし脳血流を維持する為、末梢血管に代償性の血管拡張が起きると考えられている(脳循環予備能)。本研究では、この脳循環予備能(血管拡張能)を二光子顕微鏡を用いて解明することを目的としている。
マウス脳主幹動脈狭窄モデルは、両側の総頚動脈にmicro coilを装着させることにより作成した。前年度は、micro coilの内径を変えることにより(内径0.22mm、0.2mm、0.18mm、0.16mm)狭窄/灌流圧低下の程度が異なるモデルを作成して、脳表細動脈、穿通枝動脈、毛細血管、静脈の各血管の反応性を二光子顕微鏡を用いて明らかにした。
本年度は、脳低灌流状態での血管拡張性物質(acetazolamide:ACZ)投与による血管拡張反応性を二光子顕微鏡と二次元レーザードップラー血流計を用いて明らかにした。臨床で用いられる脳血流シンチなどでは、脳循環予備能を直接評価することはできず、ACZなどの血管拡張性物資を投与して、残存する血管拡張能から脳循環予備能の評価を行っている。しかしながら、この評価方法が正確に脳循環予備能を評価しているのかどうかははっきりしていない。
軽度の低灌流状態(micro coil 0.2mm)では、レーザードップラーを用いたACZ投与前後の血流測定においては、投与前の血流値とACZ投与後の血流増加量の間には有意な相関関係が認められた。二光子顕微鏡を用いた観察では、ACZ投与前の状態では、穿通動脈に代償性の血管拡張が認められたが、ACZ投与による血管拡張が、主に脳表の小血管に優位に起きていることが確認された。高度の低灌流状態(micro coil 0.16mm)でもACZ投与に伴う血流増加、血管拡張は認めら、ACZは生理的な血管拡張能を超えて血管拡張を来すことが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、血管拡張性物質(acetazolamide)による血管拡張反応を正常状態と脳灌流圧低下状態で観察を行った。acetazolamideは、生理的な代償性血管拡張を超えて強力に血管拡張をさせることを明らかにした。概ね、当初の計画通りに進行している。

今後の研究の推進方策

正常脳では、神経活動の増加に伴い局所脳血流が増加する(Functional hyperemia)。この血流増加のメカニズムとして、Astrocyteの活性化が大きな役割を演じていると報告されている。今後の研究予定としては、脳灌流圧低下状態におけるAstrocyteの活動性を明らかにする予定である。Astrocyteの活動性の指標として、Ca indicatorを用いたCa imagingを行う予定である。Ca indicatorとしては、Fluo4-AMを使用する予定である。Astrocyteの活性化に伴い細胞質内のCa濃度の増加が起こる為、このCaの増加を二光子顕微鏡で捉え、脳灌流圧低下状態にけるAstrocyteの活動性を明らかにする予定である。
定常状態におけるastrocyteの活動性の比較:正常脳においてもastrocyteの活動としてSpontaneous Ca surgeが起こる。低灌流状態でも同様にこのSpontaneous Ca surgeがおきるのかどうかを明らかにする。また、灌流圧低下の程度により、違いがないのかどうかを狭窄の程度の異なる2群(micro coil 0.2mm,0.16mm)を用いて明らかにする。
Functional hyperemiaにおけるastrocyteの活動性の比較:正常状態では、局所神経活動の増加に伴いAstrocyteの活動性が増加し、血管拡張が起こる。脳灌流低下状態でも同様なastrocyteの活動性の増加、それに伴う血管拡張がおきるのかどうかを明らかにする。また、灌流圧低下の程度により、Astrocyteの活動性や血管拡張反応に違いがないかどうかを、狭窄の程度の異なる2群(micro coil 0.2mm,0.16mm)を用いて明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

二光子顕微鏡の修理、バージョンアップを予定していたが、納入が遅れた為、年度を超えてしまった。また、特別な蛍光色素を特別注文でオーダーした為、納入が遅れており、年度を超えてしまった。

次年度使用額の使用計画

二光子顕微鏡部品、蛍光色素ともに近日中に納入予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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