研究課題/領域番号 |
15K09315
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中曽 一裕 鳥取大学, 医学部, 准教授 (30379648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シヌクレイン / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
αシヌクレインの発現量およびカテコールアミン代謝を人為的に調節することが可能な細胞PC12-TetOFF-αsyn細胞を用い,カテコールアミン代謝とαシヌクレインの分解,安定性,および細胞外分泌・細胞間伝播について検討を行った. αシヌクレインの新規転写を完全に停止した状態で,細胞内におけるαシヌクレインの分解機構を検討したところ,主にオートファジー・リソソーム系に依存していることが明らかとなり,さらにカテコールアミン存在下では細胞内安定性が増すことが示された. 細胞外に放出されるαシヌクレインに関しては,エクソソームに包含されたものと,フリーの形で培養上清に放出されたものがあることがわかった.量的には非エクソソーム画分αシヌクレインが圧倒的に多く,カテコールアミン代謝がある細胞からはやや分泌が多いことがわかった,カテコールアミン代謝と,エクソソーム内αシヌクレイン/エクソソーム外αシヌクレイン比の関係を検討したが,大きな変化はなかった(初期レベル検討). カテコールアミン代謝存在下では,αシヌクレインのメチオニン残基(特に127Met)が酸化修飾されており,メチオニンスルホキシド還元酵素( MsrA,MsrB1,MsrB2,MsrB3)抗体を用いた免疫沈降実験および細胞内凝集体の免疫染色実験から,αシヌクレインとMsrが結合,共局在していることが明らかとなった.これら酸化修飾と細胞外への分泌について検討中である. 個体レベルでのカテコールアミン代謝とαシヌクレインの相互作用を明らかにするため,北里大学薬学部,坂本太郎博士との共同研究により,線虫を用いた検討が進行中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
αシヌクレインの発現量およびカテコールアミン代謝を人為的に調節することが可能な細胞PC12-TetOFF-αsyn細胞を用い,カテコールアミン代謝とαシヌクレインの分解,安定性,および細胞外分泌・細胞間伝播について検討を行った. 細胞内分解と細胞外への分泌に関してはデータが順調に蓄積されているが,別の細胞への伝播に関しては検討がやや遅れている, 個体レベルでのカテコールアミン代謝とαシヌクレインの相互作用を明らかにするため,北里大学薬学部,坂本太郎博士との共同研究により,線虫を用いた検討が進行中であるが,現時点では明快な結果は得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
細胞レベルでの検討は概ね順調であるが,他の細胞へのαシヌクレイン伝播のメカニズムに関してはカテコールアミン代謝との関連データが不十分であり,今後の課題である.カテコールアミン代謝調節下での詳細検討,αシヌクレイン変異体を用いた検討を有効に導入し,さらなるデータ蓄積に努める. 個体レベル研究は進行中であるが,結果を得るまでに時間を要している.引き続き検討を行う.
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