研究課題/領域番号 |
15K09316
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
出口 健太郎 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80467753)
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研究分担者 |
太田 康之 岡山大学, 大学病院, 講師 (20746854)
菱川 望 岡山大学, 大学病院, 助教 (90378175)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 脳組織保護 |
研究実績の概要 |
脳梗塞ではその病変部位で多くの細胞が壊死に陥り、非可逆的な機能障害を残す。脳梗塞の治療は、急性期に脳組織保護療法で脳梗塞に陥る病変を少なくし、慢性期に脳組織再生が得られやすい血管新生、組織修復を目指す必要がある。また、脳梗塞慢性期にはアルツハイマー病理が加わり、認知機能へ影響することも問題であることがわかってきた。そこでこの研究ではアストロサイトに注目し、アストロサイトへの薬物介入を通じて、脳血管保護・脳組織保護・認知症予防・再生療法を目指した脳梗塞の新しい治療戦略を検討することを目的としている。脳梗塞におけるアストロサイトの役割を解析するにあたり、11-13週齢のOKD48マウスの45分間の一過性中大脳動脈閉塞による、マウス局所脳虚血モデルを作成した。OKD48マウスは酸化ストレスが発現するとルシフェラーゼ発光する遺伝子組み換えマウスであり、in vivoイメージングで脳虚血による酸化ストレスを観察することが可能である。マウスの頸動脈よりナイロン糸を挿入し、中大脳動脈起始部を閉塞し、閉塞側の中大脳動脈領域の大脳皮質と基底核に脳梗塞巣の作成を行い、脳虚血12時間後、24時間後、72時間後、7日後の大脳凍結切片を作成した。脳梗塞周辺のアストロサイトの病態関与を解析するため、まず免疫染色により、低酸素ストレスマーカーであるHIF1α、抗酸化ストレス作用のあるGlutathione (GSH)の発現変化を解析した。HIF1α発現は脳梗塞発症12時間後に脳梗塞巣周辺にて顕著に増加し、24時間後に最大となり、以後低下傾向となった。GSH発現は脳梗塞発症12時間後より脳梗塞巣周辺にて増加傾向となり、72時間後に最大となり、以後低下傾向となった。以上より、脳梗塞病態には低酸素ストレスがまず関わり、次いで酸化ストレスが関わることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一過性中大脳動脈閉塞によるOKD48マウス局所脳虚血モデルを用いた解析により、脳梗塞病態では、脳梗塞巣周辺において、まず低酸素ストレスが関与し、次いで酸化ストレスが関与することが判明した。以上の結果を踏まえ、脳梗塞におけるアストロサイトの役割について低酸素ストレスと酸化ストレスに特に注目して解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、OKD48マウスの脳梗塞巣周辺領域における、低酸素ストレスおよび酸化ストレスに関連するマーカーの発現について解析する予定であり、アストロサイトとの関連について検討する予定である。
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