研究課題
アミロイド原性の高いTTRのC末端側フラグメントペプチドを用いて、細胞培養モデルを構築した。本細胞培養モデルを用いて、TTRアミロイドーシスの病態解析を行った。複数の細胞株に対して細胞毒性を示すことが確認された。RNA-seqを用いた網羅的発現解析で、アポトーシスに関連する分子や、炎症、細胞接着に関連する分子の発現誘導が確認された。また、細胞培養モデルを用いて、抗アミロイド作用を持つ化合物のスクリーニングを行った。1次スクリーニングで約1200化合物から75化合物を抽出し、2次スクリーニングで20化合物を抽出した。これらの候補化合物を用いて、試験管内のアミロイド形成抑制作用とすでに形成されたアミロイド線維の分解作用を検証している。またこれらの化合物の中には、TTR安定化作用も合わせて有するものが存在することも明らかとなった。今後はin vivoモデルを用いて、抗アミロイド効果を検討する。新規のin vivoモデルであるTTR発現線虫を作成している。特にTTRのC末端側を発現する線虫に運動機能の低下や、凝集物の形成、寿命の短縮などの表現型が認められた。TTRのC末端側に特異的に反応する抗体を作成し、アミロイドの形成を抑制するか検討した。いくつかのTTR抗体はアミロイド化したTTRに特異的に反応し、in vitroの検討でアミロイド形成を抑制することが判明した。今後、in vivoモデルを用いたアミロイド抑制効果を検証する予定である。
2: おおむね順調に進展している
化合物スクリーニング、in vivoモデルの作成は順調に進展している。
抽出した化合物のアミロイド抑制効果をさらに詳細に検証すると共に、in vivo モデルの作成とin vivoモデルを用いた化合物の作用を検証する。
薬剤スクリーニング研究の進展に関連して、本年度の研究遂行には予定より少額の使用となった。次年度以降に予定分を使用し研究を遂行する。
細胞培養モデルを用いた抗アミロイド薬スクリーニング、線虫モデルの構築に用いる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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